CITES

2015年3月26日 (木)

野生生物の保全をめぐる「対立」と「連携」

●90年代以前:「コケか電気か」の対立の構図


 自然保護か開発かの対立の議論として、尾瀬の電源開発が象徴的であるので以下に引用する。
 「戦後、荒廃した国土の復旧のために資源開発と電源開発が急で激しい自然破壊が目立ち、これに対して1949年尾瀬保存期成同盟がつくられた。電源開発が必要とはいえ、尾瀬を水没させるのは許せないというものであった。この後もやつぎ早に起こる開発計画に対し、1951年には日本自然保護協会と改称して、意見を出し続けていた。構成メンバーは学者、登山家等であり、大所高所からものを言う形であったことは否めなかった。
 しかし、マスコミの取り上げ方は、「苔か電気か」「トンボか電気か」「人か鳥か」であり、世間一般が自然保護思想を持たなければ所詮解決にならないとの結論に達し、日本自然保護協会は1960年、組織を法人化して自然保護思想の普及・啓発に力を入れることになった。」(金田1996)
 21世紀の今、「尾瀬を水没させて発電ダムをつくるべきか」と問われたら、「発電は他にも方法があるので尾瀬の自然を失うべきではない」という意見が多いのではないだろうか。
 かつては「コケか電気か」の対立の構図であったが、今は尾瀬の自然を残しつつ電力を得る方法を考える、つまり自然を残すために解決策を探る時代になったのではないか。これは引用文に書かれている、自然保護教育に携わった方々の長年の努力のたまものであろう。


●90年代:地球サミットと「持続可能な開発」


 JWCSが発足したきっかけの一つが、1992年の地球サミットの前からよく使われるようになった「持続可能な開発(Sustainable Development)」という言葉の使われ方である。JWCSの会報の第1号の巻頭言「野生生物保全論研究会の発展を目指して」では、「Sustainable Developmentの都合の良い独り歩き」を懸念している。(小原 1994)
 「持続可能な開発」に対するJWCSの意見は以下である。
「developmentの訳語である「開発」の実態が、自然の人工化であるならば、開発と野生生物保全とは相容れないものである。むしろdevelopmentを「人間、社会の発展」と考えれば、developmentは野生生物保全をその重要な一画に組み入れねばならない」(本谷・岩田2008)
 国際的にはJWCSの意見の方向へ動いている。Developmentを使っている国連のミレニアム開発目標は、貧困と飢餓の撲滅、初等教育の達成、女性の地位向上、乳児死亡率の削減などを掲げ、「人間、社会の発展」の意味で使っている。そして2014年10月に開催された生物多様性条約第12回締約国会議では、開発目標に生物多様性と生態系の見地を入れるよう働きかける決議がなされた(決議XII/4)。
 また同会議では、ブッシュミート(野生動物の肉)についての決議がなされたが、こちらは「生物多様性の持続可能な利用(Sustainable use of biodiversity)」 を使っている(決議XII/18)。
 ただこれらの「持続可能」の中身が実際に野生生物の保全になっているかどうか、常に検証することは重要である。


●00年代:ミレニアム生態系評価と「生態系サービス」

 2000~2005年に国連の主導で、生態系に関する世界で初めての大規模な調査である「ミレニアム生態系評価」が行われた。調査は人為的な生態系の変化と多様性の減少を明らかにした。また生態系による人間への恵みを「生態系サービス」と呼び、供給サービス(食料・水など)、調整サービス(気候・土壌など)、基盤サービス(生物の生息環境)、文化的サービス(神秘体験、レクリエーションなど)に分類して状況を評価した。つまり生態系は人間の生存の基盤であることを明らかにしている。
 この流れを明確にしたのが、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約国会議COP10で採択された「愛知ターゲット」である。2020年までの短期目標には「抵抗力ある生態系とその提供する基本的なサービスが継続されることを確保。その結果、地球の生命の多様性が確保され、人類の福利と貧困解消に貢献」とある。


●10年代:愛知ターゲットと「連携」

 生物多様性条約は条約の目的の一つに「生物多様性の構成要素の持続可能な利用」があり、農業や先住民などのテーマが継続して議論されてきた。これに近年は、ジェンダー、貧困、健康の問題と生物多様性を連携した議題が加わっている。そして前述の「愛知ターゲット」は2010年までの戦略目標が達成できなかった反省から、政策のあらゆる分野に生物多様性保全を組み入れることを目標としている。
 ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物種の国際取引に関する条約)も、国際取引の規制だけでなく、種の絶滅の背景にある人のくらしが議題に加わっている。(表)

 またこれらの国際環境条約同士と国連機関などが連携する動きも強まっており、条約の決議文などにそれを見ることができる。例えば前述のブッシュミートについては、先住民が伝統を継続できないほど森林の動物が減少し、動物による種子の散布がなされなくなって森林生態系全体が劣化しているとの認識から、ワシントン条約と生物多様性条約が連携している。
 とくに象牙の密猟・密輸などの野生生物犯罪は、種の絶滅の問題としてだけでなく、国際犯罪組織や武装組織の資金源の問題として、国際社会が協力して取り組むべきという認識が広がっている。
 つまり、生物多様性や野生生物の問題と貧困や紛争の問題は別物ではなく、それらの解決のために一緒に議論しようという「連携」が国際的な流れになっている。


(表)ワシントン条約と生物多様性条約の議題の変遷
Photo_2
ピンク:ワシントン条約締約国会議 議題番号
緑:生物多様性締約国会議 決議番号

条約事務局ウェブサイトを元に鈴木作成
*1 The Millennium Development Goals (MDGs) 
*2 The post-2015 United Nations development agenda and the sustainable development goals (SDGs)


●日本の政策に残る対立の構図

 ところが、日本の政策においては野生生物か人間かの対立の構図が用いられる。以下は平成27年度の水産庁補助事業の説明である(農林水産省のウェブサイトから閲覧可能)。
「国際漁業連携強化・操業秩序確立事業(拡充)
(2)国際漁業連携強化事業
我が国漁船の海外漁場での操業を確保するため、国際漁業(主要国の漁業政策、RFMO、環境 NGO、環境保護国及びその影響を受けやすい国等の動向等)に関する情報収集・分析、環境保護国等の影響を受けやすい国への働きかけ、漁業関係者への情報提供」
 ここには「コケか電気か」と同じ「産業か環境保護か」の対立の構図がある。そしてこの文章によると日本は「環境保護国」ではないようである。
また「環境NGO」を対立の相手としているが、国際的にはさまざまなセクターの連携が重視されている。
 例えば2014年3月の「世界野生生物の日」に関連してインターポールの環境部長が来日した際には、JWCSを含む日本の野生生物犯罪に関する活動をしているNGOとの意見交換会が行われた。政府とNGO(非政府組織)の対立ではなく、NGOを政府から独立した組織と認めた上での連携である。


●JWCSの活動の中で

 これらの状況から考えると、野生生物を脅かす人間社会の問題に踏み込んで解決策を考えること、そしてそのような動きがあることを国内に浸透させ、短期的な利益を求める「産業か環境保護か」の対立の考えから脱却することが重要に思われる。
 そのためJWCSはワシントン条約プロジェクトとして、日本で絶滅のおそれのある野生生物が消費されている問題について、国際団体と協力した提言や消費者への普及啓発活動を行っている。
 また生物多様性条約プロジェクトとして、自然を収奪する社会から生物多様性を基盤とした社会へ転換することを研究し提案している。
 今や地球上で人間活動の影響の少ない野生の世界はわずかになってしまった。例えばアフリカゾウの生息地はアフリカ大陸に点々と残るだけになってしまっている(地図)。
野生の世界を野生のままに残すことが、当会の目的であることは会の発足以来変わらない。そのため人間社会の問題に踏み込んで解決策を考えるときに、安易な人為化を避けること、予防原則を徹底することを原則としている。

Elephantpopulationdistribution
(地図)UNEP, CITES, IUCN, TRAFFIC (2013) Elephant in the dust - The African elephant crisis. p.19

「野生生物保全」とは
 「野生生物保全」と同じような意味合いで一般には「自然保護」や「環境保全」が使われる。
 JWCSでは野生生物を「人為の影響を受ける・受けないに関係なく、そのものが自律的に維持存続し、長い時間的経過のなかで自己運動的に進化していく生物世界」と定義している。またその保全を「野生生物を賢明に合理的に利用しながら野生生物が野生生物として存続することを保障するという具体的な方策を含めた概念」としている(本谷・岩田2008)。
 この定義を分かりやすく普及させるため、「野生の世界は野生のままに」というキャッチフレーズを使っている。
 「自然保護」や「環境保全」はさまざまな概念があるため、引用文に関連した記述では引用文に従った語句を使っている。

小原秀雄(1994)『野生生物保全論研究会会報No.1』巻頭言
金田平(1996)『自然教育指導事典』国土社 p16 
本谷勲・岩田好宏(2008)『野生生物保全事典』野生生物保全論研究会編 緑風出版p25-32、P74

(鈴木希理恵 JWCS事務局長)

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2013年9月 9日 (月)

国内外の野生生物保全の認識の違いと情報の落差

 2013年8月21日にトラフィック イーストアジア ジャパンが主催した「ワシントン条約40周年記念シンポジウム ワシントン条約の動向と日本への期待」に参加しました。シンポジウムでは野生生物保全に対する国内外の認識の違いが浮き彫りになりました。
●CITES条約事務局スタッフは16名
 ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物種の国際取引に関する条約・CITES)の締約国は178カ国。2013年3月にタイで開催された第16回締約国会議(CoP16)はオブザーバー、メディア等を含めて約2,234名が参加しました。しかし条約事務局のスタッフはたったの16名だそうです。そのうち1名は日本人女性で、シンポジウムの会場で紹介されました。
事務局長のジョン・スキャンロン氏はオーストラリア出身の法律家だそうです。スキャンロン事務局長からCITESが果たしてきた役割について、シロサイは規制の対象となる前は2000頭だったが今は2万頭になった例や、CoP16の成果についての報告などがありました。(写真1)
Cites_3
(写真1)
●CITESは珍獣保護の条約ではない
 事務局長がCoP16の成果として一つ目と二つ目に挙げたことは、木材種と水産種が規制の対象になったことでした。
 前回のCoP15(2010年3月)では大西洋クロマグロの規制が提案された時、日本では「日々の食卓にのぼるマグロを、いきなりジュゴンやパンダと同じ絶滅危惧種にするのは強引すぎる(2010年3月16日読売新聞社説)」という論調の報道がありました。しかし、CITESは単に希少な種だから規制をする条約ではなく、このままの国際取引を続ければ種が絶滅する恐れがあるので取引を規制するという考えによる条約です(*1)。
 ジャイアントパンダのように生息地が限られ、生息数の少ない種はわずかな取引でも絶滅の原因になります。一方、林業や漁業の対象として大量に取引される動植物種の中にも、その取引の規模の大きさゆえに絶滅のおそれのある種があります。CITESに規制が提案される生物には、その2タイプの国際取引があることがあまり理解されていないように思います。

●サメの管理についての意見の違い
 「第2部:責任ある水産種の管理のために-サメを事例として-」では、トラフィック水産取引プログラムリーダーの発表と、日本の水産庁や気仙沼遠洋漁業協同組合との意見の違いや認識の違いが鮮明になりました。
 日本はCITESで附属書I (国際取引原則禁止)掲載種中7種(ナガスクジラ、イワシクジラ(北太平洋の個体群並びに東経0度から東経70度及び赤道から南極大陸に囲まれる範囲の個体群を除く)、マッコウクジラ、ミンククジラ、ニタリクジラ、ツチクジラ、カワゴンドウ)、附属書II (国際取引に許可が必要)掲載種中9種(ジンベイザメ、ウバザメ、タツノオトシゴ、ホホジロザメ、そしてCoP16で掲載が決まり2014年9月から適用されるヨゴレ、シュモクザメ3種、ニシネズミザメ)を「留保」しています(*2)。この留保した種は、条約が適用されません。
 日本政府は留保の理由を「絶滅のおそれがあるとの科学的情報が不足していること、地域漁業管理機関(*3)が適切に管理すべきこと」としており、このシンポジウムでの水産庁の発言も同様でした。この点はトラフィック水産取引プログラムリーダーの発表(*4)と意見が対立していました。
●認識の違いが鮮明に
 気仙沼遠洋漁業組合の方からは、サメの漁獲の中心はヨシキリザメで、ヒレだけでなく魚体も魚肉として利用しているとの発言がありました。
 しかしCoP16で規制が決まったのはヨゴレ、シュモクザメ3種、ニシネズミザメです。いずれもフカヒレが高価な種であるため、ヒレだけを目的に漁獲する国があり、国際取引によって生息数が減少していることが複数の研究機関からCoP16で報告され、投票によって附属書掲載が採択されました(*5)。
 水産庁は「環境団体は資源量が健全な種もあるのに、サメ漁を批判している」と発言しましたが(写真2)、後でCITES事務局長からサメの種による資源量の違いを認識して対応している旨の発言がありました。
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(写真2)
 またJWCSが参加したCoP16でのサメをめぐる議論では、サメの規制提案が否決された以前の締約国会議に増して危機的なデータが出され、FAO(国連食糧農業機関)も提案を支持し、こんなに減少しているなら規制しなければという雰囲気でした(*6)。
そのため気仙沼遠洋漁業組合の方の「漁業は何故叩かれるのか?(写真3)」「理不尽なイジメには徹底的に理性的に闘う(写真4)」という発言には驚きました。発表者からは「バイヤスがかかっているのは漁業を愛するがゆえ」との発言があり、司会者からは英国紙ガーディアンの記事(*7) が背景にあると補足がありました。
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(写真3)
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(写真4)
 しかし国際会議では、枯渇する水産資源をどうやって持続させるかを各国代表、国際機関、「環境団体」が一緒に議論しています。また海外では「環境団体」と研究機関、政府、国連機関などを転職する人もいます。
 CoP16でサメ5種を議論したときは、中国と日本が規制に強く反対し、サメに関するサイドイベントでも中国代表は長々と反論をしていました。しかし投票で規制が決定するとフカヒレの輸出入の多い中国が条約に従い、日本は留保しました。この日本政府の決定に「環境団体」から批判の声があがりましたが、ほとんどの「環境団体」は漁業者を批判しません。こうした国際会議の様子と国内でのとらえ方がかけ離れていることがこのシンポジウムで鮮明になりました。
 そのためCITES事務局長は最後のコメントで「漁業を否定しているわけではありません、今夜もおいしい日本の魚料理を期待しています」とユーモアで締めくくっていました。
(*5) 附属書掲載提案
          http://wildlife.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-d3d4.html (後)
(*6) FAO(国連食糧農業機関)
CoP16で提案された漁業対象種についてFAO専門家諮問パネルの報告書 (英語)
IUCNレッドリスト(抜粋翻訳)
 アカシュモクザメ http://www.jwcs.org/data/Sphyrnalewini.pdf
 ヒラシュモクザメ http://www.jwcs.org/data/Sphyrnamokarran.pdf
 注:記載されたJWCSの所在地・電話番号は移転前のものです。
(*7) 2011年2月11日付ガーディアンの記事(英語)
ガーディアンの記事で引用されているTRAFFICとPEW財団(米国)の報告書(英語)


●認識の違いを生むのは情報の少なさ


 国内外で認識が違うのは、英語ではインターネットで得られる情報が、日本語で報道されていないからだと思います。それは今に始まったことではなく、2010年のCoP15で大西洋クロマグロの国際取引禁止(附属書Ⅰ掲載)が否決されたときも同じように感じました。(当時の状況は、勝川俊雄氏の公式サイト「ワシントン条約の報道において、日本のメディアは国民に何を隠したか」が詳しいです http://katukawa.com/?p=3402 )。
 CITESの締約国会議では、加盟国代表だけでなくオブザーバーもアルファベット順に席が決まっています。そのため席の近い日本の漁業関係者の何人かと名刺交換をしたのですが、期間中ほとんど空席でお話ができず残念でした。
 映画『もののけ姫』に「その地に赴き、曇りなき眼で物事を見定めるなら、あるいはその呪いを絶つ道が見つかるかもしれん」というセリフがあります。漁業関係者の中には若い人も来ていたので「曇りなき眼」で国際会議の推移を見て、さまざまなセクターと前向きな議論ができる関係が広がることを期待しています。
 国際会議は誰もが参加できるわけではありませんので、政府発の情報以外を国内に伝えるのもNGOの大事な仕事です。今回参加したシンポジウムは、日本にいながら国際的な意見交換の場に立ち会うことができて有意義でした。
 またJWCSでは国際会議に参加するときはブログで状況を報告し、帰国後に報告会を開催しています。報告会開催の折にはぜひご参加ください。
 (鈴木希理恵 JWCS理事)

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2012年2月 3日 (金)

「えっ、まだ禁止じゃなかったの?」種の保存法点検会議 傍聴記

種の保存法を見直すための「点検会議」が開かれました。
( http://www.env.go.jp/nature/yasei/tenken.html )
今回傍聴したのは、ワシントン条約で規制されている外国の野生動植物の流通についての会議でした。


 印象的だったのは、象牙や毛皮などの野生生物由来の高級品や、希少動物ペットは所有が最終目的なのに取引の時しか違法にならず、所有禁止にすることが困難、ということでした。
 例えば本物のヒョウの毛皮を着ていたり、希少動物を飼っていたりすると、多くの人は「カッコイイ!」というより「それ、いいの?」と思うようになったのではないでしょうか。そうした人々の意識の変化に法律が遅れているように思いました。

 また輸入の時に必要な書類がそろっていないことを税関に指摘されたとき、所有権を放棄する「任意放棄」やインターネット・オークションなどに違法な出品があってもサイト管理者は責任を問われないなど、責任の所在を厳しく問わない法制度についての意見もありました。

 そしてたびたびマスコミがとりあげる、没収された密輸動物の飼育が動物園の経営や展示を圧迫している話や申請の悪用は、この会議の話題になってようやく改善に向けて動くのだろうかと思いました。

 「法律で規制すべきか社会的な合意はあるか」どころか「えっ、まだ禁止じゃなかったの?」という意識の変化に、法律が追いついてほしいと思いました。

<傍聴メモ>
希少野生生物の国内流通管理に関する点検会議 
第二回会合 2012年1月30日 経済産業省会議室

●今なお続く象牙と爬虫類ペットの密輸
以前より違法取引件数は減ったが、今でも違法取引されるのは、象牙と高額な爬虫類ペットであった。違法取引の収入の方が罰金より高いので、再犯事件も。罰則の強化が提言に盛り込まれた。

●財産権が強い日本の法律
日本の法律で所持が禁止されているのは銃・刀、麻薬など社会的脅威が極めて強いものに限られ、所持を禁止することは難しい。所有者が合法性を証明することは所有を禁止することと同じなので、それができない。今は違法性を検察が証明しなければならない。
登録にあたっての虚偽申請に登録機関が十分な情報を得られるようにするというのは、原則所持禁止に近い考え方である。所有が種の存続を危うくすることが明らかになった時は、原則所持禁止にした方がよいとの意見があった。

●没収後の生きた動物は
没収後の生きた動物は、飼育技術のある動物園などで飼育している。しかし飼育の費用が十分ではないことが問題になっていた。税関で必要な書類がないことが明らかになった場合、任意放棄を認めず、責任を追及すべきではないかとの意見があった。
罰金は国庫に入るので、飼育の費用や原産国に返還する費用に充てられる仕組みにはなっていない。

●インターネットでの違法販売の責任は
ネットオークションの運営会社は、違法取引の利益からも収入を得ていることが指摘された。現在は違法な商品が見つかった時は、環境省が連絡してネット会社に削除してもらっている。売買した当事者に罰則はあるが、運営会社に罰則はない。環境省からはフリーマーケットの主催者にあたるとの認識が示された。ただ、販売目的の陳列にあたる可能性もあるそうだ。

●「国際希少野生動植物種登録票」制度の不備
登録した動物が死亡した場合、登録票が確実に返納されているかは管理されていない。 登録票の返納や所有者が変わった場合は申請の義務があり、罰金が決められている。しかし移動も把握できていない。登録票がコピーされ、悪用されている。登録票は販売目的で陳列する時や譲り渡す時に必要になる。売買ではなく所有が目的のとき、登録票はコピーでもいいという所有者がいる。
生物の年齢や違反の事例を参考に期間を決める、登録票の更新制度が提案された。

(鈴木希理恵 JWCS理事)

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