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2016年11月 9日 (水)

会議報告⑪ 10月4日 駆け足で終わった全体会合

 委員会での議論が終わり、全体会合で二つの委員会の決定を最終的に決議しました。この段階でも再決議を求めることができます。クェートからハヤブサのダウンリストが否決された件で、再議論の提案がありましたが、投票で再議論が否決されました。日本は再議論に賛成していました。
 ハヤブサに続き、ヨウムもカタールから再議論の提案がありました。今度は秘密投票により賛成28棄権3 反対104で再議論は否決されました。カタールはこの場でヨウムを留保すると発言していました。
このほかは再議論がなく、会議は1日早く終了しました。次回の開催国はスリランカです。

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会議場のあるビルからの風景。
緑が多いように見えますがこれらは庭木で、木の下には高い塀と電気柵で囲われた住宅が地平線まで続いていました。タクシーの運転手さんによると住民はショッピングモールで買い物をするとのこと。
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会議場から約30kmの所にあるクルーガーズドープ動物保護区は、住宅に囲まれていました。緑の部分は庭木です。もともとこの地に生息していたライオンやスプリングボックなどが、柵に囲われた中で管理されているところでした。

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会議報告⑩ 10月3日 残りの附属書提案を一気に議論

●アフリカゾウの附属書提案
 いよいよアフリカゾウの附属書提案の議論です。附属書Ⅱになっているボツワナ、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエの個体群を国際取引するための条件が、附属書の注にあります。提案14、ナミビアの提案はその注を全部削除するというもので、それが採択されると、ナミビアは自国のゾウの絶滅に影響がない範囲で象牙が輸出できるようになります。また提案15、ジンバブエは部分的に削除するという提案で、象牙取引の収益がゾウの保護や地域社会の開発に使われるなどの条件は残していました。
 これらの提案に対し、国内市場閉鎖に舵を切ったはずの中国は賛成していました。日本は提案14、15の提案の修正を提案し、それが受け入れられました。
 どちらの国の提案も秘密投票が行われ、3分の2の賛成が得られずに否決されました。
提案14ナミビアの個体群については賛成27 棄権9 反対110
提案15ジンバブエの個体群については賛成21 棄権11 反対107
 この会議が始まる前に、マリとベナンの政府代表の方とお話ししました。国内市場閉鎖の議題が合意されたので、日本もアフリカゾウ附属書Ⅰ掲載に賛成してくれるのではと期待していたのですが…。
 その、すべてのアフリカゾウを再び附属書Ⅰにする提案は賛成62 棄権12 反対72で3分の2に達せず、否決されました。日本、EU、中国は反対。28票持っているEUの反対が大きかったです。
●ミナミシロサイ
 附属書Ⅱのスワジランドのミナミシロサイの自然死したサイの角や密猟から押収した角を国際取引できるようにする提案は、秘密投票で賛成26 棄権17 反対100で否決。日本は「保全ができている」として取引支持の発言をしていました。
●サメ・エイ
 クロトガリザメ(Silky shark)を附属書Ⅱに掲載する提案に日本はサメの識別など実行が負担、掲載の要件を満たしていないと発言。そして秘密投票を提案。結果は賛成111棄権5反対30で採択。
 オナガザメ属全種を附属書Ⅱ(国際商取引に許可が必要)に掲載する提案に日本はまたしても反対。サメとエイは附属書Ⅱにしても保全の利点がないと発言。賛成108 棄権5 反対29 で採択。
イトマキエイ属の附属書Ⅱにも日本は反対。生息数が掲載の要件を満たしていない、附属書Ⅱは保全の利点がないとサメと同じ趣旨の発言。コンセンサスができず投票になり、賛成110 棄権3 反対20 で附属書Ⅱ掲載されることになりました。
 南米の淡水エイは提案国のボリビアが取り下げました。10月5日付でブラジルとコロンビアは取り下げた種を含む淡水エイの仲間を附属書Ⅲに登録しました。
 日本政府が附属書の掲載要件を満たしてないと発言した背景にはResolution Conf.9.24附属書Ⅰ及びⅡ改正の基準があります。
RECOGNIZING further that, in accordance with the same Article, the Secretariat shall consult intergovernmental bodies having a function in relation to marine species;
 FAOは、クロトガリザメとオナガザメ属全種の提案は生物学的基準を満たしていないとしています。しかし、クロトガリザメの議論の時にCITES附属書Ⅱに掲載することは地域漁業管理機関(RFMOs)の保全管理を補完するものだと発言していました。
 またイトマキエイ属は附属書Ⅱの生物学的基準を満たしているとしています。
Ngoweb
写真:会議場のNGOブース
●附属書提案、観賞魚、両生爬虫類
 メキシコ提案の観賞魚(クラリオンエンゼルフィッシュ)の附属書Ⅱ掲載に日本は掲載要件を満たしていないので、自国の種だけ国際取引禁止にする附属書Ⅲを提案。投票により賛成69棄権15反対21で採択され、附属書Ⅱへ掲載が決まりました。延長して会議が続けられ、疲労感が漂っていました。
 ケニアのクサリヘビ科のヘビ2種、アフリカのスッポン6種が附属書Ⅱに、またマダガスカルのトマトガエルの1種がダウンリストになったものの、近縁種2種を加え3種が附属書Ⅱに掲載されました。
 マダガスカルのカエルの附属書Ⅱの掲載と、チチカカミズガエルの附属書Ⅰ掲載に日本から生物学的基準を満たしているかと質問がありましたが、提案国が答えて合意。ホンコンコブイモリの附属書Ⅱも合意され、すべての附属書提案の議論が終わりました。現地時間夜8時過ぎでした。

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会議報告⑨ 10月2日 附属書改定提案と象牙国内市場閉鎖

●ヨウム
ヨウムの生息国の多くは密猟が止まらず個体数が減少している状況を訴える一方、バーレーンは持続可能な利用を主張し、アラブ首長国連邦は家庭のペットとして繁殖していると提案に反対。野生動植物の利用に積極的な南アフリカ共和国は「私たちは繁殖で需要を満たしている、生息国が管理すべきだ」と発言。日本は附属書Ⅰに格上げする要件を満たしていないと発言しました。
 生息国の中でもカメルーンとコンゴ民主共和国は「我が国は保護区もあるし管理ができている」と発言していましたが、現地を知る人から実態は違うという話を聞きました。米国、EUは取引禁止に賛成でした。
 ヨウムに限らず、この会議を通して野生動植物利用推進の発言、とくにアフリカの国から発言があると拍手が起きます。
 チュニジアが秘密投票を提案し、12か国が賛成して投票になりました。反対意見が目立った割には賛成95 棄権5 反対35と、大差でヨウムの国際取引禁止が決まりました。

 国際会議を独自に取材し報告を掲載する『Earth Negotiations Bulletin』によると、秘密投票になったのはペット業界からの批判を避けるためだったとか。
●象牙の国内市場閉鎖
 象牙の国内市場閉鎖の提案は、決議10.10(ゾウ標本の取引)に加える形になり、その文言を3晩も作業部会で議論していました。そしてアフリカゾウが附属書改正で議題になる前に、やっと作業部会で作成したドキュメントが委員会Ⅱにかけられました。日本は発言しませんでした。そして日本が主張していた「密猟や違法取引に関係する国内象牙市場は閉鎖する」が文言に入った文章がコンセンサスで採択されました。
国内市場閉鎖の部分
RECOMMENDS that all Parties and non-Parties in whose jurisdiction there is a legal domestic market for ivory that is contributing to poaching or illegal trade, take all necessary legislative, regulatory and enforcement measures to close their domestic markets for commercial trade in raw and worked ivory as a matter of urgency;
●ペット取引される爬虫類
 附属書改正提案は鳥類が終わって次は爬虫類です。ペットとして取引される、アブロニア(キノボリアリゲータートカゲ属)全種が附属書Ⅱに。そのうちグアテマラの10種は輸出割当ゼロで合意されました。
 アフリカの熱帯林に生息する、指先サイズのカレハカメレオン属全種、チビカレハカメレオン属全種が附属書Ⅱに合意されました。
ベトナムとEUが提案のサイケデリック ロック ゲッコー(和名なし)と、タンザニアとEUが提案のアオマルメヤモリの附属書Ⅰ掲載は意見なしで合意されました。
 マダガスカルとEUが提案したマソベササクレヤモリも意見なしで附属書Ⅱに合意。EUは「EUや日本で売られている」と発言していました。
 マレーシアのミミナシオオトカゲ全種を附属書Ⅰにする提案に、日本は附属書Ⅰ掲載の要件に満たないと発言。日本、韓国、インドネシアの反対で、附属書Ⅱで輸出割当量ゼロにすることで合意されました。ミミナシオオトカゲは生息国で捕獲も輸出も禁止されている保護動物なのに、なぜか日本で売買や飼育がされている動物です。
 一方、中国、ベトナム、EU提案のシナワニトカゲの附属書Ⅰアップリストはあっさり合意されました。終了は9時過ぎ。もう疲れて意見を言う気にもならない雰囲気でした。

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会議報告⑧ 9月29日 ハヤブサ

 委員会1では植物の附属書提案が議論されました。植物は、アルジェリアによる提案書が間に合わなかったアルジェリアモミを除き、提案のすべてが採択されました。その中には日本でエアプランツと言う名で売られている園芸植物の、メキシコの種が附属書Ⅱからダウンリストされたほかは、アップリストや注釈の変更でした。
 とくに高級木材のローズウッドの仲間が含まれるツルサイカチ属は全種(すでにⅠに掲載されている種を除く)が附属書Ⅱに掲載されました。

●ハヤブサ

 植物の後は動物の提案に戻り、カナダが提案したハヤブサの附属書ⅠからIIへのダウンリストの提案が議論されました。ハヤブサは鷹狩のために生体が取引されます。提案書では、かつては農薬DDTの影響で生息数が減ったけれど、ハヤブサは生息域が非常に広く個体数が安定していること、飼育繁殖されていることをダウンリストの理由にあげていました。日本は生物学的に附属書Ⅰの基準を満たさなくなったとしてダウンリストに賛成と発言していました。
 一方、EU、イスラエル、イラン、ペルーとNGO34団体は反対しました。そのためコンセンサスが得られず、投票になりました。
投票でダウンリスト賛成52、反対57、棄権12で、賛成票が3分の2に達しなかったので否決されました。
9月30日、10月1日は休会でした。

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お休みの日には南アフリカ政府主催のバスツアーが用意されました。マンデラ元大統領の足跡をたどるツアーに参加し、博物館や黒人居住地ソウェトに行きました。ソウェトから見えた煙突は、使われていない火力発電所だそうで、いまはバンジージャンプ台になっているとのこと。

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会議報告⑦ 9月28日 附属書改定提案が始まる

●センザンコウ

 28日から附属書改定の議論が始まりました。ライオンやサイの提案は後回しになり、センザンコウ8種を国際取引禁止(附属書Ⅰ)にする提案が議論されました。センザンコウはこれまでも取引に許可が必要な附属書Ⅱでしたが、肉を食用にウロコを伝統薬にするため、アジアに向け、大規模に密輸されていました。そして現在、一番違法取引されている哺乳類といわれています。
 アジアのセンザンコウのうちインドセンザンコウとフィリピンのセンザンコウ(和名なし)の附属書Ⅰ掲載(国際商取引禁止)提案は反対意見なしで合意されました。マライセンザンコウとコミミセンザンコウの提案にはインドネシアだけが反対して投票になりました。賛成114、棄権は日本、中国、ナミビア、マダガスカル、オマーンの5か国、国内市場のあるインドネシアだけが反対だったので、附属書Ⅰ掲載が決まりました。
 お昼休み、会議室の外ではリモコンで動くセンザンコウが附属書Ⅰ掲載を訴えて走り回っていました。センザンコウの提案国のテーブルにはぬいぐるみが置かれていました。

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 午後からアフリカのセンザンコウ4種をすべて附属書Ⅰに掲載するか議論が始まりました。提案国のギニアは「アフリカのセンザンコウがアジアのマーケットで売られている」、トーゴは「センザンコウは危機的な状況にあるため、附属書Ⅰにして明確なメッセージを発信すべきだ」、コートジボアールは「DNAを調べないと分からないので、アフリカのセンザンコウ全種を附属書Ⅰにすべき」と発言していました。スワジランドからは「附属書Ⅰの価値はない、人と動物のコンクリフトがある」と述べていましたが、おもにアフリカの国から提案支持の意見が相次ぎ、附属書Ⅰ掲載が合意されました。会場は大きな拍手に包まれました。
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会議報告⑥ 9月27日 自然保護の新たな議論「ローカルコミュニティ」

 コミュニティベースの自然資源管理ができるようにするための仕組みがCITESにはないという理由で、村落地域委員会の新設をナミビア、タンザニア、ザンビア、ジンバブエが提案しました。
 一方、CITES事務局はこの提案に対し、「CITESと生計」のプログラムと重複すること、新たな委員会の設置は資金的に難しいことなどをコメントしていました。
 提案した国々はローカルコミュニティの重要性を力説し、その都度会場から拍手が起きました。エチオピア、南アフリカ共和国、中国が支持、EU、ノルウェー、カナダが反対の発言をしました。
 日本政府は「日本の小さな漁村は持続可能な利用をしている。アイディアはいいので議論を続けるべきだ」と発言。この議題は作業部会で議論されることになりました。

 午後はTBSラジオ「荻上チキSession22」のCITES特集でインタビューに答えました。
 番組の中で日本に密輸があるかどうか質問されました。税関で摘発される不正輸入は税関のホームページで公開されています。
 これを見ると象牙は少ないのですが、空港の手荷物検査で、小さく切った象牙がすべて摘発されるかどうかは疑問です。
 また、象牙などワシントン条約附属書Ⅰの対象のうち、合法の製品・個体などを登録しているのが自然環境研究センター(自然研)です。自然研は2016年6月28日の種の保存法あり方会議において、象牙の登録申請の問い合わせが1か月に100~150本あり、対応時間中の7~8割が象牙に関する問い合わせであると報告していました。

 一度限りの象牙取引が2回あったとはいえ、1989年の取引禁止から20年以上たっても、大量に新しい登録申請があるということは、日本国内に存在する象牙の量は把握できていないということです。そこに新たな密猟による象牙が混入する隙ができてしまっています。

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会議報告⑤ 9月26日 一日ゾウの議題

●MIKEとETISの報告
 MIKE(ゾウ違法捕殺監視システム)の報告に、現状が反映されていないという発言が続きました。ケニアは「MIKEのデータ加工についてはもっと科学的に要検討である。レポートの結果は信用できない。ケニアはもっと高いレベルでCITESの影響を見ている。アフリカゾウ連合としてデータ検証システムを推奨する」と述べました。アフリカゾウ連合とは象牙の売買より観光を重視するアフリカ29か国によるグループです。
 南アフリカ共和国は「一度限りの象牙取引と密猟の関係は表れていない。PIKE(違法に殺されたゾウの割合)はある国立公園で上昇した。国内の政策でキャパシティー・ビルディングにも努めている」、ナミビアは「持続可能な保全は可能。MIKEは密猟の増減について何も示していない」と発言していました。
 アメリカは「当初アジアの実施に問題があったが今はうまくいっている。まだとくに注意すべき場所は残っている。例えば南アフリカ共和国のクルーガ国立公園はもう安全ではない」と述べていました。ちなみに南アフリカ共和国に生息するゾウ推定18,841頭のうち、17,087頭がクルーガ国立公園に推定生息しています。(IUCN『African Elephant Status Report 2016』p175 )
 MIKEの報告に対してはデータについて意見がありましたが報告そのものは合意され、次の議題ETIS(ゾウ取引の情報システム)の報告へ。スリランカは「2016年4月から規制を強化している。象牙の国内取引を禁止しているのに、対策を取るべき国のリストに入れられて迷惑だ」、ウガンダも「違法取引防止に取り組んでいるのに、第一次懸念国に入れられているのはBad boy扱いでフラストレーションがある」と発言するなど、自国の取り組みがレポートに反映されていないことへの意見が相次ぎました。
 これに対しETISの実施機関であるTRAFFICは「レポートはリスク・アセスメントの意味がある。リストに入れられた国は象牙の通り道であるからであり、これも国別象牙行動計画(NIAPs)に利用してもらうためでもある。96%のデータは加盟国自身からのものだが、データを入手する時点で遅れ、結果をまとめるのにも時間がかかるので、レポートがタイムリーでないのは仕方がない」と答えていました。
●象牙国内市場閉鎖
 象牙国内市場閉鎖の(議題57.2)の提案国の一つであるチャドは、「すべての在庫象牙を壊すべきだ」と発言。ニジェールは「密猟の増加は象牙市場の存在自身が脅威となっている。違法象牙と合法象牙の区別は不可能である。中国も市場を閉鎖すると決めた。EUも閉鎖してほしい。このままでは新たな市場の登場もありえる」と述べました。
議長は議題57.1、57.2、57.3および27Annex1、24について、決議10.10(ゾウの標本(象牙など製品と生体のこと)取引)改正の議論とNIAPs、二つの作業部会を作って議論することを提案しました。
 ナミビアは「CITESは国際商取引の条約であり、持続可能な利用が基本方針なのだから象牙国内市場閉鎖の議論をすべきではない」と発言。それに対しイスラエルは「条約の決定以上のことを国内で実施する権利が認められている」と応えていました。
(参考)
第14条 国内法令及び国際条約に対する影響
一 この条約は、締約国が次の国内措置をとる権利にいかなる影響も及ぼすものではない。
(a) 附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種の標本の取引、捕獲若しくは採取、所持、若しくは輸送の条件に関する一層厳重な国内措置又はこれらの取引捕獲若しくは採取、所持若しくは輸送を完全に禁止する国内措置

 ケニアは「決議10.10(ゾウの標本取引)には国内取引のことも入っている。チベットアンテロープのときも、国内取引を禁止した歴史がある。象牙の国内市場閉鎖は緊急に必要で、グローバルに重要な問題だ」と発言しました。
 ナミビアの「国内取引について議論をすべきではない」という意見に賛成か反対かで投票を行いました。投票の結果、賛成31、反対57、棄権7で象牙国内市場閉鎖の議論を続けることに決まりました。日本は象牙の国内取引を議論しない方に投票しました。投票した国のリストを見ると、議論をやめることに反対したのではなく、議論を続けることにNoを投票したのではと思われる国もありました。
また締約国は182か国(CoP17当時・EU含)ですが、出席していない国を差し引いても投票数が少なく、投票していない国は電子投票の機械操作に問題があった可能性がありました。
 この夜から始まった2つの作業部会に日本政府も参加しました。
参加国及び団体はCoP17 Com. II Rec. 3 (Rev.1)参照

●象牙取引再開のための意思決定メカニズム(DMM)

 象牙取引再開のための意思決定メカニズム(DMM)とは、象牙取引を再開するための手順を生息国・輸入国双方で挙げたものです。今回の会議で決議できるように最終合意を取っておく必要がありましたができませんでした。
 そのままならタイムアウトしてしまう議題でしたが、常設委員会でこの議題の議論を続けるかどうか、締約国会議で合意を取ることにしていました。(Doc. 84.1)
 このDMMを不要とし、代わりに密猟・密輸対策を取るという提案が、ベニン、ブルキナファソ、中央アフリカ共和国、チャド、エチオピア、ケニア、ニジェール、セネガルから提出されました(Doc. 84.2)。(提案の和訳)
 合法象牙取引の支持者は、この提案に反論できるでしょうか。
 それに対し、ナミビア、南アフリカ共和国、ジンバブエは決議10.10の改正または注釈の削除で象牙引再開の方法を提案していました。(Doc. 84.3)
 DMM不要の提案国の一つであるケニアは、「一度妥協して一度限りの輸出をしたが、今は保護の方向へ変えるべき時。これまでDMMについてさんざん議論にエネルギーを使った分を、保護のための議論に費やすべき。永久に話さないとは言っていない、2007年と状況が違う今、将来の取引を話す時ではない」と述べました。ベナンは「DMMの議論をすることはますます密猟のリスクを高める」。エチオピアは「象牙はゾウのもの。全世界で取引中止しなければゾウがいなくなってしまう」。エチオピアに生息するゾウは、あとわずか1,017頭と推定されています(IUCN『African Elephant Status Report 2016』p99)。
 最初の投票で、DMM不要(Doc. 84.2)は、賛成44、反対45、棄権11で否決されました。日本は反対していました。
 次に南アフリカ共和国などの提案(Doc.84.3)です。日本を含む14か国が秘密投票に賛成しました。結果は賛成21、反対76、棄権13の大差で否決されました。
相反する結果になったため「議論を続けるかどうか」(Doc. 84.1)という常設委員会の提案の投票が行われました。EUは各国がそれぞれの意見で投票しました。
間違いがないよう「Yes(緑)」は次回の締約国会議でも議論する、「No(赤)」はもうこの議題は終了すると議長が確認し、投票が行われました。
 結果は賛成20、棄権13、反対76で圧倒的に議題の終了が支持されました。
どの国が賛成または反対したかは、CITES事務局の議事録で確認できます。
(DMMの最終決定となった議題84.1の投票結果はP9以降参照)

Dmm

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会議報告④ 9月25日 ウナギと宝石サンゴ

 25日午後、EUが提案したウナギの生息状況と取引の調査と、米国が提案した宝石サンゴの取引の調査の提案が議題になりました。どちらの提案も日本は支持しました。
 ウナギについて日本政府は、生息国と消費国の協力が必要、環境の悪化と捕りすぎで生息数が減少している。国内の取り組みも必要。調査によりヨーロッパウナギを附属書Ⅱにした評価ができるだろうと発言していました。
 宝石サンゴの議題では日本政府は中国の違法漁船を中国政府と協力して取り締まったことを強調。そして取引を調査するためのアンケート項目について、日本政府は削除と変更の提案をし、中国もそのアンケート項目に意見があるというので、夜に日本、中国、米国で検討することになりました。この二つの提案そのものに反対する国はありませんでした。

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会議報告③ 9月24日 締約国会議始まる

 会議の書類は印刷されず、条約事務局のウェブサイトに掲載されます。会議が始まる直前まで、アフリカゾウに関する会議提出書類がウェブサイトに追加されていました。
 その一つとして、MIKE(ゾウ違法捕殺監視システム)とETIS(ゾウ取引情報システム)の分析は、2008年(アフリカで競売があった年)の「一度限りの象牙取引(one-off sale)」によって密猟が増加したとは言えないという結論になっていますが、MIKEの統計モデルが間違っている、他の要因を考慮すると単純ではないという反論が提出されました。
 また日本政府からは23日付で3つも書類が提出されていました(CoP17 Inf. 56~58)。日本の見解や日本の制度を紹介しています。日本は象牙の取引は種の保全や生態系、地域の人々に利益があるとの意見です。
 会議の開幕に合わせ、世界各地で「ゾウとサイのためのグローバルマーチ」が企画されました。時差の関係で日本ではすでに上野で行われていました。ヨハネスブルグでは会議場から少し離れた George Lea Parkを9時15分にスタートし、10時半から始まる締約国会議の開会式の前に会議場前に行進が到着しました。
 グローバルマーチ参加者は「何が必要?」「ゾウ!」「何を望む?」「附属書Ⅰ!」「サイを殺すな!」「狩猟反対!」などとコールしていました。サッカーワールドカップの南アフリカ大会で知られるようになったブブゼラが吹き鳴らされ、若い参加者の声がとても賑やかでした。
 
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会議報告② 9月23日 第67回常設委員会

 前回の締約国会議(CoP16 )で採択された国別象牙行動計画(NIAPs)について、対象国から報告がありました。レポート提出が必要なのは、象牙の違法取引に関与している国です。その度合いにより「第一1次懸念国 」「第二2次懸念国 」「重要監視国」に分けられ、日本はCoP16では「重要監視国」でした。2016年1月にスイスのジュネーブで開催された第66回常設委員会に向けレポートを提出し、現在は対象から外れています。

 引き続き「第一次懸念国」のケニアは「国別象牙行動計画を十分やっている、もっと取り組みが遅れている国の、対応レベルを上げるべきだ」と述べていました。同じく「第一次懸念国」のベトナムは「象牙の違法取引にはもっと対策が必要、他の加盟国やNGOからの協力も仰ぎたい」と発言。
 「第2二次懸念国」のガボンとカメルーンはレポートが未提出で、30日の猶予があたえられました。カメルーンは2016年4月に2015年分を提出した後、3.5トンの在庫象牙がみつかり、保護区で5件も密猟があったので追加しているとのことでした。
 「重要監視国」のアンゴラは「今年5月から国境でも保護活動を始め、進展している。在庫象牙の目録も作成中だが簡単ではない。国内法規制は来年中ごろには完成する。国内販売も閉鎖しており、モニタリングを行っている。外国からのサポートも欲しい」と発言していました 。
 
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CITES CoP17 会議報告①

絶滅のおそれのある野生動植物種の国際取引に関する条約(ワシントン条約 Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora CITES)の第17回目の締約国会議が2016年9月24日~10月4日に南アフリカ共和国のヨハネスブルグで開催されました。JWCSはこの会議と前日に開催された常設委員会にNGOとしてオブザーバー参加しました。
 ワシントン条約の締約国は182か国(2016年10月20日にトンガが加盟し183)ですが、参加したのは152政府(香港政府なども含むため)、会議参加者は3,500人を超え過去最大規模でした。今回の締約国会議では、条約の運営や執行にかかわる90もの議題(Agenda)と、条約の対象となる種のリストを改正する62の提案(Proposal)が2つの委員会で議論され、10月4日の全体会合で最終的に決議されました。
 締約国会議はおよそ3年ごとに開催されるため、その間に常設委員会や、動物委員会、植物委員会などの委員会が開催されます。
JWCSは締約国この会議と前日に開催された常設委員会にNGOとしてオブザーバー参加しました。参加報告を連載します。

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