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2016年3月18日 (金)

絶滅のおそれのある野生動植物の取引は企業リスク

●Yahoo!Japanに米国の環境団体EIAが象牙を取り扱わないよう申し入れ

 2016年3月17日、米国の環境団体Environmental Investigation Agency(EIA)は、Yahoo!Japanに対し、象牙製品の広告と販売をやめるよう申し入れをしました。
 EIAは2015年12月、日本における象牙取引を調査した報告書を発表しています。
EIA報告書『日本で展開される象牙の違法取引と不正な登録』(日本語)
 
日本語でのやりとりの録音を公開しています
 その中でYahoo!Japanが行っているインターネット販売は、違法象牙取引の温床になっていることを明らかにしています。
 報告書によると、Yahoo!Japanのサイトには2015年8月の単日だけで、6000を超える象牙製品の広告が掲載され、その93%は印鑑でした。広告が掲載された象牙製品の総額は2.6百万米ドル(約3億円)でした。そして2012年から2014年の間にオークションでは、800を超える全形象牙が売られていました。
 インターネット販売サイトは海外からでも閲覧することができ、このオークションに出品された象牙を落札代行業者が購入し、輸出することが可能です。
 今回Yahoo!Japanに対して提出された申入書では、他のインターネット販売の大手である、Google、 Amazon.comとアリババは全世界で、米国のYahooも象牙製品の販売を禁止していることを示し、Yahoo!Japanも象牙を取り扱わないよう求めています。
EIAのサイト(英語)
EIAは2014年3月に楽天の象牙と鯨肉販売についての報告書を発表しています。
『Blood e-commerce : Rakuten’s   profits from the slaughter of elephants and whales』(英語)
●違法な日本のインターネット取引

 トラフィック イーストアジア ジャパンが2015年1月に報告書で、ワシントン条約附属書掲載種が国内法に違反してインターネット上で販売されている事例があったことを明らかにしています。

『日本におけるインターネットでの象牙取引 現状と対策』(日本語)
●eコマース(電子取引)規制に向けたワシントン条約の動き

 インターネットを使った取引には、サイバーモール(電子商店街)、インターネットオークション、買い取りウェブサイトがあります。これらを総称して「eコマース」と呼ばれています。
 ワシントン条約では2009年の常設委員会でeコマースワーキンググループの設置を決めました。そして締約国に国内の野生生物取引を管理し、違法取引を調査するための国内措置を開発すること、インターネット犯罪の監視に野生生物犯罪調査専門の担当部署を置くこと、国レベルの監視情報をタイムリーに共有する仕組みの確立を求めています。
(11.3 (Rev. CoP14))英語
 第15回締約国会議(2010年ドーハ)での決議では、締約国に対し、以下の情報を求めています。

(Dec. 15.57 )英語
・条約のウェブサイトに掲載するための成功事例の情報
・インターネットと野生生物犯罪に関する研究
・インターネットを使った附属書掲載種の取引の程度や傾向
・インターネット取引の増加により貿易ルートや輸出の方法が変わったか
 2011年の常設委員会では、ガイドラインを含むツールキットの開発することが議論されました。

(SC61 Doc.29)英語
 第16回締約国会議(2013年バンコク)の決議で世界税関機構と連携し、附属書掲載種を統計品目番号(貿易統計に使う世界共通の番号)に加えることを決議しました(Decision 16.62)。そして2014年の常設委員会で、2017年1月1日の改訂が示されています。
(SC65 Doc.33)英語
 今後、附属書掲載種の貿易は各国の税関でより明確に記録されるようになり、インターネットを使った附属書掲載種の取引の国際ルールも決まっていくものと思われます。
 国境を越えた消費や商取引が盛んになり、日本の国内法で規制されていないからといって国際的な動きに無頓着ではいられなくなっています。企業は、野生生物犯罪に対する国際的な取り組みが強化されている状況を理解し、絶滅のおそれのある野生動植物の取引は企業活動へのリスクであると認識する必要があります。
                                               (鈴木希理恵 JWCS事務局長)

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