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2014年10月 9日 (木)

提言で貿易と地方での取り組みに注目した理由

●補助金改革が進まない理由


 2013年3月、CBD事務局は締約国に「奨励措置・資源動員(目標の設立を含む)に対する戦略の実施のチェック」という文章を送りました。
 これは愛知ターゲット3(補助金を含む奨励措置の改革)を進めるにあたって障害は何かを聞くアンケートです。締め切りは2013年7月5日でした。
 これに対し、13か国と2つの組織から回答がありました。締約国は194の国・地域なのですが。
 日本は回答をしませんでしたが、生物多様性条約科学技術助言補助機関会合(SBSTTA)あてにコメントを出したことが上記のサイトに書かれています(段落5)。

 そしてアンケート結果である、改革の障害物ワースト5(段落10)を簡単に訳してみますと
(a)資金、人、技術の不足
(b)環境以外の部署やる気なし
(c)生物多様性の損失で損をしていることが知られてないし、明文化されていない。
(d)政治的にやる気なし
(e)制度脆弱でやる人がいない
でした。どこの国でも同じなんだと納得しました。


●「貿易」と「地域」に注目


 ではどうしたら奨励措置の改革が進むのか。2012年度からJWCS愛知ターゲット委員会で研究してきた事例から2つの点に注目しました。
 1つは貿易です。
 WTOドーハラウンドでは、漁業補助金について「水産資源の枯渇に配慮しない国が、配慮する国より貿易で有利にならないようにすべき」という点で補助金が議論されていました。
 そのため、生物多様性に配慮しても自国だけが損をしない、また国際社会と協調しなければならないという状況を作り出すことは、奨励措置の改革を促すのではないかと考えました。
 貿易のルールが生物多様性保全のために変わることができれば、多くの国で補助金改革が実現しやすくなるでしょう。
 
 2つめは国よりも地方で先行する取り組みです。
 「志摩市里海創生基本計画」「千葉市谷津田等の保全に関する協定」、そしておもに県が実施している森林環境税など、生態系サービスを重視する政策が実施されています。また、前述の志摩市の基本計画や三重県での水田の水路の生態系を保全する環境用水事業は、地域の生物多様性を保全する政策の実施のために省庁の縦割りを超える事業です。
 また、沖縄嘉陽海岸高潮対策事業、千葉県海岸事業、荒瀬ダム撤去など地域住民や利害関係者が参加して、公共事業を生物多様性を保全する計画に変更した事例があります。
 日本では過疎対策から地方自治体が地域を見直す動きがありますが、世界でも貧困など地域の問題を解決と、生物多様性に配慮した地域づくりが結び付くのではないかと思います。
 詳しくはJWCSの報告書をご覧ください http://www.jwcs.org/activity/diversity.html


●COP12草案との関係


  愛知ターゲット3は、生物多様性に有害な補助金を良い補助金に替えて、保全の資金を確保するという意味で「資源動員」の議題の中で話し合われます。
 その「資源動員」の議題の草案(Item14 段落17)に、WTOなど貿易関係を含む国際機関との関係強化や能力開発・技術での協力に留意することと書かれています。
 また「他の条約や国際組織の協力、ビジネスを含む利害関係者の関与」の議題の草案(Item29 段落29)に、国民との協働という言葉があります。
 表現としては弱いですが、注目した要素は草案に入っているという点から、草案を後退することなく採択するよう求める提言にしました。
                                         (鈴木希理恵 JWCS事務局長)

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