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2014年1月28日 (火)

狩猟だけでない総合的な対策の議論を早急に(審議会傍聴報告)

1月27日、環境省中央環境審議会自然環境部会(第21回)を傍聴してきました。
 今回の議題は、鳥獣保護法、種の保全戦略、生物多様性条約事務局に定期的に提出す
る国別報告書と国家戦略の点検結果についてでした。これらを3回に分けてご報告します。

●「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」


 鳥獣害対策のために狩猟をし易くする法改正のための検討が、2013年5月から自然環境
部会の中の鳥獣保護管理のあり方検討小委員会で行われてきました。狩猟を行う事業者を認定する制度などを盛り込んだ答申案について11月、12月にパブリックコメントが募集され、修正された答申が自然環境部会で諮られました。

 小委員会委員長からの報告では、「シカを減らすことは当面必要だが、その先の目標や捕獲以外の対策が課題として残っている」と述べていました。またパブリックコメントで捕獲そのものへ対する否定的な意見が多かったことに配慮したことも述べていました。答申の中の「国民の理解を得るための取組の推進」の項の書き換えや、捕獲以外の対策の加筆がその部分ではないかと思います。
 審議会というと行政の案をそのまま承認するだけともいわれますが、自然環境部会では、委員の発言を取り入れて小委員会の答申を修正することになりました。

 JWCSの生物多様性プロジェクト3では、愛知ターゲットの目標3(補助金を含む奨励措
置の改革)を研究しています。その点からみると「行政による鳥獣管理に鉛弾は使わな
い」のように、公的資金による事業での環境配慮の要件を厳しくすることは、奨励措置
改革の一つであると思います。
 ちなみ鉛弾の件は、小委員会の答申に「原則として」とあった部分を自然保護部会での意見で削除することになりました。


 また、2007年に農林水産業被害防止のための「鳥獣被害防止特措法(農水省)」が成
立し、1,331市町村(2013年4月)が被害防止計画を策定しました。しかし都道府県が策定する鳥獣保護事業計画・特定計画(環境省)との整合が十分図られていないことが答申で指摘されています。
 さらに鳥獣被害問題の背景にある、里地里山地域の無居住地化など、社会の変化につ
いても答申では触れています。
 鳥獣被害の防止には、狩猟だけでなく省庁をまたがるさまざまな政策が考えられます。この「政策統合」は愛知ターゲット3の研究の中でも重視している考え方です。

 
 答申が指摘するように、狩猟による対処にとどまらない総合的な対策の検討が早急に始
まってほしいものです。
                                    (鈴木希理恵 JWCS理事)

・鳥獣保護管理のあり方検討小委員会 
・中央環境審議会自然環境部会

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