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2013年6月21日 (金)

種の保存法が一部改正される

 今春から新聞等でも取り上げられていた、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(通称・種の保存法)」の一部を改正する法律案が第183回国会に提出されていました。

 
 限られた時間の中で、参議院と衆議院の環境委員会において、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」の一部を改正する法律案とともに審議され、参議院では5月23日に、衆議院では6月4日に可決・成立し、6月12日に公布されました。参議院環境委員会を他のNGOメンバーと一緒に傍聴し、NGOからの提案がどのように反映されるかを見てきました。
 
 
改正の柱:罰則の強化
 種の保存法とその施行令で指定されている国際希少野生動植物種(ワシントン条約附属書Ⅰ・国際取引原則禁止)は高額で取引されるケースが多く、これらの野生動物を捕獲するための密猟には、UNEP(国連環境計画)、CITES(ワシントン条約事務局)、IUCN(国際自然保護連合)、トラフィック(TRAFFIC)などから、犯罪組織が関与していると指摘されています。
 
 
 しかし日本では、法律に違反して希少野生動植物種の取引を行った場合でも、個人は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」、法人についても「100万円以下の罰金」という軽い罰則になっていました。
 
 先日の東京レプタイルズワールドで取引されていた動物たちは合法的に輸入されたものですが、国際希少野生動植物種に指定されているスローロリスが一頭が65万円から80万円程度で売られていたことを考えれば、数頭まとめて輸入すれば、捕まっても100万円罰金を払うだけで十分利益が出る場合があるでしょう。
 
 
 また、登録票の偽造などにより摘発がとても難しく、実刑になる例が少ないため、犯罪は繰り返し行われていると言われています。
 今回の改正では、個人に対する罰金が「500万円以下」、法人が「1億円以下」とそれぞれ大幅に罰則が強化されました。
 
 
登録種の増加を目指す
 5月23日に傍聴した参議院の環境委員会では、種の保存法の改正案に含まれている内容だけでなく、環境省の今後の目標として、希少野生動植物種を2020年までに300種まで増やすことを目指すことが明言されました。
 環境省が平成24年8月に公表した第4次レッドリストでは、9分類群合計で3,430種が絶滅の恐れのある種として掲載されていたにもかかわらず、種の保存法では国内希少野生動植物種は89種しか指定されていませんでした。民主党政権下で、生物多様性国家戦略の見直しの際に提示されていた、25種の追加から比べると飛躍的な進歩といえます。
 ただし厳しい国家財政の中、希少野生動植物種に指定した動植物の保護増殖をどう進めていくのか、またその残り200種の指定をどのような手続きで進めていくのか、希少野生動植物種に指定されることで乱獲が行われる可能性があることにどう対処するのか、といった具体的なことはまだすべてこれからの検討にゆだねられています。
 そのほか今後の種の保存法の施行に関わる重要な内容について、質疑の中でしか触れられていないことが多くありました。私たちが選んだ議員によって法改正が行われる重要な場において、課題を政府やそれぞれの政党がどのようにとらえているかに、今後も注目していく必要があります。
 
 
 


残された課題
 今回の法改正に先立ち、いくつかのNGOが事前に議員にロビーイングをし、改正の内容についての提案を行っていました。登録種の増加などについても、NGOからの事前提案が取り上げられた例の一つです。
 種の保存法の条文の中ではありませんでしたが、種の保存法の検討に関わる参議院の附帯決議として、NGOからの事前提案の内容が数多く明記されました。
 たとえば国際希少野生動植物種の個体等の登録制度において、個体等識別情報をマイクロチップ、足環、ICタグ等によってすべての個体等に表示し、登録票上へもICタグなどにより表示することによって、登録票の付け替えや流用を防止する措置を検討することなどが記されています。
 この附帯決議は、今後また種の保存法の改正が行われる時に、過去の審議の申し送りのような意味合いを果たすものです。今後の種の保存法の改定時に、今回の附帯決議に挙げられたような内容が盛り込まれ、絶滅危惧種の保全にもっと効果的な法律となるよう、JWCSも働きかけを続けます。
 
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案 に対する附帯決議 (平成25年5月23日)(PDF)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/current/f073_052301.pdf
 
廣瀬光子 JWCSスタッフ

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