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2013年5月31日 (金)

ゾウの密猟 中央アフリカ共和国の状況(2)

アフリカから緊急メッセージ(2)  西原智昭(WCSコンゴ共和国・JWCS理事)
付記:西原智昭
 昨今の中央アフリカ共和国における内戦とそれに伴う上記のマルミミゾウの密猟の状況につて、背景説明いたします。
 昨年2012年7月、コンゴ共和国、中央アフリカ共和国、カメルーンの3国国境をまたがる地帯約25,000km2の熱帯林とその緩衝地帯が、世界自然遺産に登録されました(名称Tri-Natioanl Sangha)。そこには、世界でも稀有な原生林を有する保護地域と、環境配慮型の熱帯材伐採区が存在、生物多様性の宝庫の一つです。
 
 昨年後半以来起こった中央アフリカ共和国における内戦の影響はこの世界遺産地域にまで波及、混乱状態に乗じた密猟者が世界遺産の中でも最も貴重な場所の一つザンガ・バイ(湿原)に侵入、これまで26頭のマルミミゾウの殺害死体が確認されました。すべて象牙が抜かれており、密猟は象牙目的です。
 
 ザンガ・バイはザンガ国立公園内にあります。西原の関わるコンゴ共和国北東部にも密猟の影響が波及する可能性があり、情報収集のみならず、現在森林警察などとともに厳戒態勢を整備しつつあります(下記、当該世界遺産地域地図を参照のこと)。
Nisihara3_2
© 西原恵美子
 ザンガ・バイは、通常毎日100頭前後のマルミミゾウが集まる地球上に最後に残された希少なバイであり、これまで20年以上に渡り、われわれWCSの研究者が4,000頭以上の個体識別を元に、マルミミゾウの生態・社会に関する調査を行なってきました。下の写真は、内戦前のごく平素なザンガ・バイの風景です。泥状の湿原の中に、数多くのマルミミゾウがいるのが見られます。ほか、アカスイギュウ、イノシシ、ボンゴなどが集まります。WCS研究者は、内戦の激化に伴い、現地を脱出しました。
Nisihara4
© 西原恵美子
 アフリカでの内戦時に必要不可欠なのは現金と食糧です。そのために兵隊は略奪などをします。中央アフリカ共和国の場合もその例に漏れません。その中でターゲッ トになりやすいのがゾウです。殺害し象牙を採取、売買すれば効率的な現金収入となるし、その大量の肉は食用に利用できるからです。
 
 違法行為であっても、密猟者が内戦の混乱に乗じてゾウの密猟に走るのは、内戦下で自動小銃が身の回りにあり、ゾウの殺害が容易だからです。その時、ザンガ・バイのようなマルミミゾウが集まるような場所は格好の場所となるわけです。内戦下では森林警察も十全に機能していない状況です。
 内戦はゾウの密猟と象牙取引を助長し、また内戦は密猟に必要な武器も提供します。内戦は当地国の諸事情により起こるもので、解決は容易ではありません。しかし、もし象牙が高価な経済的価値を持っていなければ、リスクの多いゾウの密猟は起こらず、別の収入源・食糧源を探すことは確かです。

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