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2013年5月15日 (水)

緊急事態!世界遺産に登録されたアフリカ熱帯林で大規模なゾウ密猟

<拡散歓迎>

●国際社会がゾウ密猟に危機感

アフリカでゾウの密猟が激しさを増しています。象牙の国際取引が禁止されて以来最大の危機で、このままではアフリカゾウの絶滅が現実になってしまいそうです。
ワシントン条約事務局長から、緊急にゾウを保護するよう呼びかけがありました。
●日本人には関係ない?


 密猟者に今とくに狙われているのが、アフリカ中央部の熱帯林に生息するマルミミゾウです。マルミミゾウの象牙は、その品質から日本で高い需要があります。需要があるから象牙は高い金銭的価値をもち、密猟の動機になります。

 また、2013年6月1日から3日まで、横浜で第5回アフリカ開発会議が開催されます。
この会議は日本政府が国連機関や世界銀行と共催で開催します。そして重点分野として一番に「平和の定着」を挙げています。ゾウの密猟の背景には内戦があります。この地域の治安を維持して違法行為を取り締まることが密猟防止になります。
 
 日本では富士山が世界遺産に登録されるというので注目を集めていますが、アフリカの世界遺産の危機に手を差し伸べることはできないものでしょうか。 

                                                  (鈴木希理恵 JWCS理事)

●アフリカから緊急メッセージ


西原智昭(WCSコンゴ共和国 自然環境保全マネージメント技術顧問、JWCS理事)
 2012年7月、コンゴ共和国、中央アフリカ共和国、カメルーンの3国国境をまたがる地帯約25,000km2の熱帯林とその緩衝地帯が、世界自然遺産に登録されました(名称Tri-Natioanl Sangha)。そこには、世界でも稀有な原生林を有する保護地域と、環境配慮型の熱帯材伐採区が存在、生物多様性の宝庫の一つです。

 2012年後半以来起こった中央アフリカ共和国における内戦の影響はこの世界遺産地域にまで波及、混乱状態に乗じた密猟者が世界遺産の中でも最も貴重な場所の一つザンガ・バイ(湿原)に侵入、これまで26頭のマルミミゾウの殺害死体が確認されました。すべて象牙が抜かれており、密猟は象牙目的です。

 ザンガ・バイは毎日100頭前後のマルミミゾウが集まる地球上に最後に残された希少なバイであり、これまで20年以上に渡り、WCSの研究者が3000頭以上の個体識別を元に、マルミミゾウの生態・社会に関する調査を行なってきました。内戦の拡大で、研究者はすでに現地を脱出したあとの出来事でした。



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 写真は、内戦前の通常時のザンガ・バイの風景。泥状の湿原の中に、数多くのマルミミゾウがいるのが見られます。ほか、アカスイギュウ、イノシシ、ボンゴなどが集まります。

 世界遺産地域地図(下)。ザンガ・バイはザンガ国立公園内にあります。西原の関わるコンゴ共和国北東部にも密猟の影響が波及する可能性があり、情報収集のみならず、現在森林警察などとともに厳戒態勢を整備しつつあります。

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 アフリカでの内戦時に必要不可欠なのは現金と食糧。そのために兵隊は略奪などをします。中央アフリカ共和国の場合もその例に漏れません。その中でターゲットになりやすいのがゾウです。殺害し象牙を採取、売買すれば効率的な現金収入となるし、その大量の肉は食用に利用できるからです。

 違法行為であっても、密猟者が内戦の混乱に乗じてゾウの密猟に走るのは、内戦下で自動小銃が身の回りにあり、ゾウの殺害が容易だからです。その時、ザンガ・バイのようなマルミミゾウが集まるような場所は格好の場所となるわけです。内戦下では森林警察も十全に機能していない状況です。

 内戦はゾウの密猟と象牙取引を助長し、また内戦は密猟に必要な武器も提供します。内戦は当地国の諸事情により起こるもので、解決は容易ではありません。しかし、もし象牙が高価な経済的価値を持っていなければ、リスクの多いゾウの密猟は起こらず、別の収入源・食糧源を探すことは確かです。

 密猟の起こる根本的な理由は、象牙への需要の存在です。アフリカでの内戦は日本人にとっては遠い国の話かもしれませんが、象牙問題はそうではありません。いままさに大量殺戮にも繋がりかねないマルミミゾウに関しては特にそうです。日本にはマルミミゾウの象牙への強い需要があるからです。

 かつては印章もそうでありましたし、三味線の撥(ばち)は今でもハード材と呼ばれるマルミミゾウ由来の象牙が好まれています。われわれ日本人はそれを身近な問題として認識しなければなりません。日本には三味線の演奏者など、それを必要としている人がいるということをまず知る必要があります。

 WWFの声明にも書いてある通り、現時点での国際違法象牙取引量が多いのは中国とタイですが、マルミミゾウの象牙に特化した需要を持つ国は世界で日本しかありません。ワシントン条約でマルミミゾウの象牙取引は20年以上一切取引禁止ですが、管理制度の穴をくぐって違法象牙取引は十分に可能なのです。

 ここ10年の激増した密猟や管理当局の汚職等による違法象牙取引のためにマルミミゾウは絶滅の危機にある上に、いま中央アフリカ共和国での内戦によりさらに絶滅への道は加速されています。しかし、その根源的な原因は象牙の需要にあることを、われわれすべては理解しなければいけません。

 無論、象牙利用の伝統文化に一方的に反するものではありません。しかし、まずは皆さんがマルミミゾウに関する確かな情報を共有しなければなりません。そうでなければ、何も知らずに、地球上の財産である生態学的礎石種マルミミゾウが絶滅して行くのをただ眺めていくだけなのでしょうか?

 アフリカ現地での汚職を逓減し、国際協力のもと関連諸国が管理制度を厳格に整備するまでの間、あるいは象牙に代替し得る素材の開発を進めるまでの間、現在の象牙利用、とくに生存危機にあるマルミミゾウ由来の象牙利用の継続性について、日本人は真剣に検討しなければなりません。事態は危急です。
                                                                                     2013年5月13日
(参考)
WWFのサイト(英語)
5月7日
5月10日
関連ニュース(英語)
ナショナルジオグラフィック
World Bulletin

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