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2013年3月 8日 (金)

ホッキョクグマ 取引禁止ならず、アフリカマナティ 取引禁止へ

0305cites16_20130305_015_640x480_2  ワシントン条約締約国会議 5日目。今日は、委員会1で、ひとつひとつの生物種を原則取引禁止(附属書Ⅰ)にするか、輸出に許可が必要(附属書Ⅱ)にするか、各国の提案の議論にはいりました。
●ホッキョクグマ
 前回に引き続き、現在の附属書Ⅱから附属書Ⅰの格上げが米国から提案されていました。
(米国提案の一部を和訳 http://wildlife.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-67db.html )
 ロシアからはホッキョクグマの違法取引を犯罪組織が行っているから、取引を禁止するべきだと発言していました。一方、EUには北極圏に接する国々があり、先住民の狩猟を理由に、附属書Ⅱのまま割当制を提案しました。カナダのイヌイットは「ホッキョクグマの管理はCITESのサクセスストーリー」と発言。他にも「狩猟より気候変動が生息数減少の理由」という意見もありました。
日本も提案に反対で「国際取引が生息数減少の原因ではない」という意見でした。
結局投票になり、附属書Ⅱのまま割当量を決めるEU案は、賛成63、反対40、棄権17で 3分の2を超えずに否決になりました。
次に米国の提案の投票がありました。
賛成38、反対42、棄権46 で否決されました。


 否決が決まった時、会場から拍手がわきましたが、気候変動と狩猟のダブルパンチでホッキョクグマが絶滅してしまったら、ホッキョクグマ猟をしている先住民の人たちはどうするのでしょう。CITESが対象としているのは国際取引なので、ホッキョクグマの貿易に頼る生活が続けられるのか、福祉の問題と絶滅の問題を分けて考えたほうがよいのではと思いました。

●絶滅してしまった動物たち
 もうすでに絶滅してしまった、タスマニアタイガーやカンガルーの仲間などオーストラリアの動物たちを、国際取引を禁止する附属書から削除する提案がありました。取引を禁止しても、間に合わずに絶滅していった動物たちがいるのです。 

●アフリカマナティ
 アフリカ西海岸にすんでいる、アフリカマナティーは肉や油が近隣のアフリカ諸国で違法取引されているため、生息数が減っています。提案したベナン、セネガル、シエラレオネのほかにもアフリカの国々が支持し、コンセンサス(投票なし)で国際取引禁止(附属書Ⅰ格上げ)が採択されました。

(提案書の一部を和訳 http://wildlife.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-2927.html
 保護の強化が決まって拍手をするのはこれが初めて。
写真はアフリカマナティーのサイドイベントで配られたぬいぐるみとランチボックス。サイドイベントに参加すると、その生き物の状況がビジュアルで理解できます。提案国はサイドイベントをフランス語→英語版とフランス語→スペイン語版の2回行う力の入れようでした。

(鈴木希理恵 JWCS理事)

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ゾウの絶滅が現実になってしまいそう

 ワシントン条約締約国会議 5日目。委員会2では、朝からゾウの管理の議題でした。1989年に象牙の国際取引の原則禁止が決まって以降、減少の一途だったアフリカゾウの数は増加に向かったものの。2008年にボツワナ、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエと日本・中国の間で行われた「一度限りの在庫象牙取引(1)」の後、過去最悪の密猟(2)となり、アフリカゾウの数は再び減少し。「死の行進」とさえ呼ばれる状況です。

 会議文書には、密猟者との戦いで国立公園のレンジャーが命を落としたことや、武装勢力が象牙を武器の購入のために密売していることなど生々しい事件の数々が報告されています(3)。

 「すでに政府が保管している象牙だけをCITESの管理下で取引を行い、それで生まれた利益をゾウの保護のために使うならよいではないか」という考え方がありましたが、消費が密猟を誘ってしまった事実が明らかにされました。

 ではどうしたらよいか。ゾウが生息する国は保護のための資金がほしい、象牙を買う国は違法取引の取り締まりを強化するというけれど、本当に効果のある対策になるのか、会議の行方が注目されます。

(1)一度限りの象牙取引 http://www.jwcs.org/data/oneoffsale.pdf
(3)条約事務局の報告書 http://www.cites.org/eng/cop/16/doc/E-CoP16-53-02-01.pdf 
(鈴木希理恵 JWCS理事)

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