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2010年10月21日 (木)

里山って難しい…? その2

日本では「人の手を加えないと生物多様性が低下する」という表現をよく聞きます。それは日本の農耕の始まりの歴史とともに、撹乱に強い生物による生態系ができあがった場所についての意見ではないでしょうか。

マンモスがいた時代、日本列島に人類が渡ってくる前の日本の自然は生物多様性が貧弱だったとは思えません。

 生物の授業で「植物の遷移」というのを習いましたが、人が手を加えなくても何百年もの時間をかけて生態系は安定します。そのある段階を見て「問題がある」というのは、自然の側の事情というより、人間が「こうあってほしい」と思う自然の状態ではない、ということだと思います。

 世界では、生物多様性の減少は人口の増加にともなって農耕地が拡大していることが原因にあげられています

。一方日本では高齢化で伝統的な「SATOYAMA」の管理ができなくなっていることが問題になっています。そして今の経済では成り立たなくなった「SATOYAMA」を利用できないかとさまざまな取組がなされています。

 けれども税金を投入し続けても、この先何百年も人が手を加え続けていくしくみにはならないんじゃないかと思う場所も見かけます。例えば、雪解けのたびに崩れた林道の工事をしなければいけない、集落の奥で戦後の拡大造林で杉を植えたもののもてあましているような場所です。こういうところを「人の手を加えないと生物多様性が低下する」と言っても社会的に無理があります。私有林の制度など社会のしくみの検討とともに、極相森に戻すことを到達点に人の手を加えなくてもいい方向に進むための管理を最初だけするというのも選択肢ではないでしょうか。

 その地域をどんな自然の状態にすべきか。それは地域によって事情はさまざまです。ドミニカ共和国の発言のように保護区として厳正に守る地域、先住民の伝統的な生活による管理をこの先も続ける地域。それらを先住民・地域社会と話合いながら、何百年も持続可能な生物多様性の保全のしくみをつくる内容に「SATOYAMAイニシアティブ」が決まってほしいと思います。

 人間社会から自立している「野生生物界」を守る、生態学的な知識をもって物事を決めるべきだ、というのはJWCSの主張です。  

こちらもご覧ください:JWCS会長・小原秀雄 生物多様性を語る  

http://www.youtube.com/watch?v=rg6mSo7HCrA   

                                    JWCS鈴木希理恵

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