« 2010年10月20日 | トップページ | 2010年10月24日 »

2010年10月21日 (木)

来場者から学ぶこと

20日、21日と名古屋はときどき雨が降るお天気ですが、交流フェア会場は歩く人が途絶えることがありません。(写真奥が会議場のある建物です)

JWCSは、これまでも環境関連のイベントにブースを出展してきました。そこでお会いする来場者の方との会話が、次の仕事に結びつくこともあります。Booth2_2 

例えばアフリカンフェスタに出展したとき、捕鯨問題について「みんながそう言っているから、そうなんだろう」とお話された方がいました。捕鯨問題について話し合うIWCに参加した人たちから聞く話と、日本で見聞きする報道では、ずいぶんイメージにギャップがあります。それでクジラ研究者にアドバイスをいただきながら、捕鯨問題を整理したのが会報No.54 http://www.jwcs.org/data/whale.pdf です。

今回のCOP10交流フェアへの出展でも、ブースにいらした方が「かわいいからと外来種のタイワンリスにエサをやる人がいて、生物多様性を守るということを分かっていない」とお話されていました。

まさにそういうことを伝えるためにJWCSはブースを出展しています。JWCSは特定のフィールドをもっていませんが、「どうすることが生物多様性を保全することなのか」は、日々のくらしにもつながっているのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

里山って難しい…? その2

日本では「人の手を加えないと生物多様性が低下する」という表現をよく聞きます。それは日本の農耕の始まりの歴史とともに、撹乱に強い生物による生態系ができあがった場所についての意見ではないでしょうか。

マンモスがいた時代、日本列島に人類が渡ってくる前の日本の自然は生物多様性が貧弱だったとは思えません。

 生物の授業で「植物の遷移」というのを習いましたが、人が手を加えなくても何百年もの時間をかけて生態系は安定します。そのある段階を見て「問題がある」というのは、自然の側の事情というより、人間が「こうあってほしい」と思う自然の状態ではない、ということだと思います。

 世界では、生物多様性の減少は人口の増加にともなって農耕地が拡大していることが原因にあげられています

。一方日本では高齢化で伝統的な「SATOYAMA」の管理ができなくなっていることが問題になっています。そして今の経済では成り立たなくなった「SATOYAMA」を利用できないかとさまざまな取組がなされています。

 けれども税金を投入し続けても、この先何百年も人が手を加え続けていくしくみにはならないんじゃないかと思う場所も見かけます。例えば、雪解けのたびに崩れた林道の工事をしなければいけない、集落の奥で戦後の拡大造林で杉を植えたもののもてあましているような場所です。こういうところを「人の手を加えないと生物多様性が低下する」と言っても社会的に無理があります。私有林の制度など社会のしくみの検討とともに、極相森に戻すことを到達点に人の手を加えなくてもいい方向に進むための管理を最初だけするというのも選択肢ではないでしょうか。

 その地域をどんな自然の状態にすべきか。それは地域によって事情はさまざまです。ドミニカ共和国の発言のように保護区として厳正に守る地域、先住民の伝統的な生活による管理をこの先も続ける地域。それらを先住民・地域社会と話合いながら、何百年も持続可能な生物多様性の保全のしくみをつくる内容に「SATOYAMAイニシアティブ」が決まってほしいと思います。

 人間社会から自立している「野生生物界」を守る、生態学的な知識をもって物事を決めるべきだ、というのはJWCSの主張です。  

こちらもご覧ください:JWCS会長・小原秀雄 生物多様性を語る  

http://www.youtube.com/watch?v=rg6mSo7HCrA   

                                    JWCS鈴木希理恵

| | コメント (0) | トラックバック (0)

里山って難しい…? その1

20日は、ワーキンググループ1の昨日から持ち越しの議題「生物多様性の持続的な利用」に参加しました。そこで気になったのが、日本政府が提案した「SATOYAMAイニシアティブ」について「もっと理解を深める」という発言です。

(SATOYAMAイニシアティブとは?
「SATOYAMAイニシアティブは、人々が古くから持続的に利用や管理をしてきた「社会生態学的生産ランドスケープ」の維持や構築を図り、生物多様性と人間の福利に資する「自然共生社会」の実現を目指しています。」http://satoyama-initiative.org/jp/ より )

会議では、SATOYAMAイニシアティブを支持する発言もたびたびありました。理由として先住民・地域社会による生物多様性の維持管理、貧困削減につながることが挙げられていました。

一方で「意味が分からない」との発言もちらほら。コンゴ民主共和国は「説明が必要」、ニジェールは「国連の公用語全部に翻訳してほしい」、ベラルーシは「ロシア語版のブッシュミートの部分が意味不明」、エクアドルは「よくわからないので見解を留保」などなど。

日本でも地域によって「SATOYAMA」の姿はさまざまです。一般的なイメージは、斜面に昔は薪や建築材料にする林があり、低くて平らなところに田んぼがあり、田んぼの上流にはかんがい用のため池があり…という風景でしょうか。でも日本の中でも、北海道の明治時代以降に広大な畑ができたところ、区画整理された田んぼが広い平野にどこまでも続いていることろ、沖縄の一面のサトウキビ畑…といろいろなところがあって、それぞれの地域や世代の人が思い浮かべる「SATOYAMA」のイメージはまちまちなのではないでしょうか。Satoyamapop_2

国連大学が世界の「SATOYAMA」の研究を進めていますが、世界の人にとってSATOYAMAイニシアティブどんなプロジェクトにつながるのか想像できないようです。

また日本のように人口密度が高くて、国土のほとんどの自然に人の手が入っている国ばかりではありません。

ドミニカ共和国も「保護地域の利用には反対」とし、「ゾーンのカテゴリーを決めるべきだ」と発言。つまり、人の手を加えないで守ってきた保護地域と、「SATOYAMA」として管理する部分を明確に分けないと、生物多様性が失われるという意見です。

EUも「利用のプラス面とマイナス面を知るべき」「生物多様性にとって悪い補助金につながらないようにしなければならない」と警告する発言をしていました。

こうした懸念の発言に対しガーナは、混乱をさけるためイニシアティブの内容の記載を求める発言をしていました。

この議論から、議長は「SATOYAMAイニシアティブ」に絞った討議が必要として、提案国の日本とこれについて発言した国々による「フレンズグループ」を指名しました。そして議案の中身を整理する建設的な発言をしたガーナを議長に指名し、その日の夜に会議をすることになりました。
(つづく)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年10月20日 | トップページ | 2010年10月24日 »