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2008年6月19日 (木)

裁判傍聴記-スローロリス不正輸入・不正売買結審

6月12日 東京地方裁判所

この裁判は今年1月16日、ワシントン条約で商取引が禁止されている小型のサル、スローロリスをタイ王国から密輸し、日本国内で不正に売買した父子が逮捕された事件の裁判です。
父親がジーンズのポケットに入れるなどして密輸し、息子がネットなどを利用して販売していた事件で今回で結審。判決が出ます。
第1回裁判の傍聴記はこちら⇒ http://jwcs.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_16b9.html
第2回裁判の傍聴記はこちら⇒ http://jwcs.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/2_cd26.html

実は第3回の裁判も行われました。
5月29日 残念ながら私はこの裁判を傍聴できなかったので、傍聴した関係者より確認できた事実関係をお伝えします。
1.ピグミースローロリス関税法違反
2.平成19年2月27日父親がバンコクよりマダガスカルホシガメ5頭を不当に日本国内へ持ち込む。
 平成19年3月1日息子がインターネットによりペットショップへ4頭計32万円で売却。残りの1頭に関しては個人に5万円の約束で譲り渡す。

そして、本日は判決が言い渡されました。

父:懲役1年10ヶ月+罰金80万円
息子:懲役1年6ヶ月(執行猶予3年)+罰金40万

息子は裁判終了と同時に釈放(執行猶予付き判決のため)
父親は手錠をかけられ部屋を後にしました。
この後自身の罪を償うために刑に服します。

判決を聞いた私の率直な感想です。
「軽くない?」

罪に問う理由として裁判長は
1.利欲的で身勝手、巧妙な手口で常習性が顕著であり酌量の余地なし
2.ピグミースローロリス2頭とマダカスガルホシガメ4頭を死亡させたことは希少種が現に失われたということで結果は重大
3.領収書の日付を改ざんし、証拠隠滅を図っており悪質
4.父親は大麻取締り違反により懲役6年罰金刑150万に処せられ、その後5年以内に今回の事件を起こしており法遵守の気持ちが希薄
などをあげていました。

過去の罪を反省することなく、ただ彼にとって麻薬がピグミースローロリスやマダガスカルホシガメに代わっただけ。
命ってことを感じることは彼の中であったのでしょうか。
父親は一貫して無表情で、その表情からは彼の心の中を見て取ることはできませんでした。

また、息子に執行猶予がついたのは、
1.初犯であること
2.二度としないと誓っていること
3.叔父が指導監督をすることなどが理由のようです。
また息子に対して裁判長は「軽い気持ちでやったというが、決して軽いものではない」と言っていました。

息子さん、その言葉、心に響きましたか?
父親が手錠をかけられている最中、息子は父親と目で合図をしていました。
なんの合図であったか、うかがい知ることは出来ませんでした。
そして、法廷から出てきた息子は迎えに来ていた叔父とともに廊下で弁護士にお礼を言ったり談笑していました。罪の重さを感じていますか???
その顔からは罪の重さを感じるよりも自由になれた嬉しさを見て取れたのは私だけでしょうか…。

スローロリスなどの希少動物はその生息地を離れた時点で自然の中での彼らの位置を失い、実際は飼われて生きていたとしても死んだも同然であると考えないといけません。
そこで、生きているいるから絶滅はしていない、というのは人間側からの一方的な考え方ではないでしょうか。
自然界で考えたら、そこで生きてきた種がいなくなるということは、どういうことか。
その個体が暮らす森の中では植物や昆虫、その他の動物がそれぞれの役割を担って暮らしています。
その、なにが欠けても自然が崩れてしまうおそれがあることを知っていないといけません。
スローロリスを飼っているということは自然が崩れる可能性に荷担していること。
そして自然が崩れることはなにより人間の生活にも影響を及ぼします。
実際にアリューシャン列島の沿岸域では、ラッコが人間の捕獲によって減少し、ラッコの主食であるウニが増え過ぎ、ウニが食べるコンブが大打撃を受け、コンブから始まる食物連鎖に連なる魚介類が壊滅したという例があります。

種の保存法により国内での取引は規制されています。
国内繁殖を証明するものでない取引は禁止です。
もしも、それを知っていて買ったとしたら、その人も罪を犯しているのです。
今回ははじめての摘発と言うこともあり、売人のみの処罰となりましたが、次回は買った人も法廷に立つこともありうるし、やはり、罪の意識を感じるためにもそうあって欲しいと願います。
野生動物はペットではありません。

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