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2008年4月 2日 (水)

初逮捕 スローロリスの違法取引  坂元雅行

 絶滅の恐れのある希少種の保護を目的としたワシントン条約で、商取引が禁じられている小型サル「スローロリス」を密売したとして、警視庁生活環境課は16日、会社員S容疑者(64)ら2人を種の保存法違反(譲渡)などの疑いで逮捕した。

 スローロリスは、テレビ番組で紹介されたことでペットとして人気を呼び、150万円以上の高額の取引が横行。このため国内では昨年9月に売買や譲渡が禁止された。違法取引の摘発は全国初。

 調べによると、S容疑者らは昨年9月~11月、3回にわたって、タイで購入したピグミースローロリス(体長約20センチ)計9頭を、ズボンのポケットに隠すなどして国内に持ち込み、うち3頭を男性会社員(29)らに、11018万円で販売した疑い。

 S容疑者は、インターネットのサイトを通じて、販売を持ち掛けており、調べに対し、「1回につき3頭ずつ、計12回密輸した」と供述しているという。

2008116日 読売新聞)

スローロリス類は(ガラゴ類とともにロリス科をなす)、マダガスカルのキツネザル類、東南アジアのメガネザル類とともに原猿類と呼ばれ、そのほかの霊長類(真猿類)よりも原始的なサルのグループである。

 スローロリス類は北部インドから、東南アジア、中国南部にかけて生息し、夜行性で、果実や昆虫などを食べている。「ロリス」というのはオランダ語で「道化師」の意味で、手足を伸ばして自由自在に動き回ることからこの名がついたようである。ロリス類は枝と枝の間をゆっくり移動、昆虫類に気づかせず、捕食する。

スローロリス類は、森林伐採による生息地消失や激しい密猟によって絶滅の危機に瀕している。このうち密猟を助長しているのがペット目的の取引だ。20076月、絶滅のおそれのある野生生物の国際取引を規制するワシントン条約の第14回締約国会議で、スローロリス類の国際商業取引は禁止された。それにともない同年の9月から、日本の国内法「種の保存法」で、

①合法的に輸入された個体

②合法的に輸入した個体から国内で繁殖した個体

であることを環境省の登録団体に登録しなければ販売・購入は禁止になった。

しかし、小さく、大きな音も出さず、愛らしい容姿であるためか、スローロリスのペット需要は高まっており、闇で110数万円以上で取引されている。スローロリスの人工繁殖は困難といわれ動物園での繁殖実績も限られている。一方、2000年以降正規に輸入されたスローロリスは0頭である。スローロリスの密輸は後を絶たず、2006年に税関が輸入差止めに成功したものだけでも100頭以上にのぼる。実際に密輸されている数は想像もできない。今、日本のペット市場に出回っているもののほとんどは、密輸されたものだと考えられる。

密輸されたスローロリスは、すでに死んでいたり保護されて間もなく死んでしまうものも多い。赤ん坊は生まれてすぐ母親の腹にしがみつき、大きくなってくると背中に乗るようになり、餌の取り方や敵からの身の守り方を学習していく。親はおそらく密猟時に殺されてしまっているのだろう。日本人もスローロリスの未来に関わっているといえる。

(さかもと まさゆき/JWCS事務局長・弁護士)

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