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2007年10月 3日 (水)

温暖化防止の道筋は? 廣井 敏男

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、この5月までに3つの作業部会の報告書をまとめた。それによると

1)化石燃料に依存して高度成長路線をとり続けていくと、今世紀末に平均気温は20世紀末比で最大4℃上昇する。

2)温暖化の影響は現在でも出ているが、1990年比2-3℃の上昇で、世界各地で悪影響が出る可能性がある。
などという。

 6月はじめにドイツのハイリゲンダムで開かれた主要国首脳会議(G8サミット)の主要なテーマは、地球温暖化にどう対処するかであった。とすれば、ほとんど直前にまとめられたIPCC作業部会の報告書の内容がたとえわずかであっても議論に反映されたのではと考えたくなる。が、そんな場面はなかったようだ。議論されたのはEU提出の案、米案そして日本の案であった。

 EU案は 1)2050年までに1990年比でCO2排出量を50%削減する 2)それを拘束力のある義務的目標をもつ議定書の方式によってすすめる という積極的なものであった。ここで1)の論拠としたのは、こうしてはじめて森林や海が吸収する分と人間活動によって発生する分とがつり合うということである。

 対して米案は 1)CO2排出量の削減はそれぞれの国の自発的努力に委ね 2)数値目標も決めないという、いたって消極的なものであった。そしてEUと米国の仲を取り持とうと志してサミットに臨んだ日本の首相の提案は、2050年までに現状比50%削減をうたうが義務化せず、各国の事情を配慮した多様性のあるものとするもので、
最終的にはサミットでは
 1)削減の義務化をうたわない 
 2)50%削減を真剣に検討する   ということが合意された。

 温暖化防止は一刻の猶予も許されないのに、その道筋すら明確に示されないままに終わったG8サミットであった。一部の大国の国益が「人類益」を押しのけた形となったというべきか。

(ひろい としお/東京経済大学名誉教授)
会報『JWCS通信』No.50 2007年Vol.2 掲載

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