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2007年10月 3日 (水)

オオタカの準絶滅危惧種への移行について  廣井 敏男

 オオタカは「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(以下「種の保存法」という)で国内希少野生動植物に指定された動物である。この法律でいう野生希少種とは、種の存続に支障を来たすほどに個体数が少なかったり、あるいは減少が著しかったり、または主要な生息地が消滅して絶滅が危惧されるようなものを指している。レッドデータブックでは、オオタカは絶滅危惧Ⅱ類にカテゴライズされている。

 したがって、開発が計画されている区域でオオタカの生息が確認されれば、当然のことながらそれに影響のないような対応がなされなければならない。環境庁(現・環境省)はそのための手引きとして「猛禽類保護の進め方」をまとめている。これによるとオオタカの場合、営巣地、給餌物の解体場所、ねぐら、監視のためのとまり場所、巣外育雛期に幼鳥が利用する場所を含む広義の営巣地としての営巣中心域においては、建造物や施設の建設、道路の建設、森林の開発などは避けるべきとしている。そればかりか繁殖期に頻繁に利用する高利用域においても、繁殖に支障を及ぼすような行為には配慮が必要としている。このようにオオタカの保護には配慮が払われてきたのである。

 しかるにこのたび環境省はオオタカを絶滅危惧Ⅱ類から準絶滅危惧に移行することを決定した。現時点では絶滅の危機は少ないとしたわけである。つまりはこれまでのような入念な保護を講じなくてもよいということである。ゆくゆくはレッドデータブックから削除し、種の保存法の希少種の指定をもはずす可能性すらある。
 このような措置をとった理由に環境省はオオタカの個体数が増加してきていることをあげている。果たしてそうか。近年、オオタカへの人々の関心が高くなり、このため目撃情報はふえてきているが、これがそのまま個体数の増加――準危惧種への移行が差支えないほどの――につながるのかどうか検証の必要があろう。もう少し慎重でありたいものである。

 この背景に、オオタカの生息で開発計画を変更せざるを得なかった開発業者とそれらの立場を代弁する開発官庁からの環境省への何らかの働きかけはなかったのだろうか。もしそれがあっての変更だとすれば環境行政に禍根を残すことになり残念なことである。

(ひろい としお/JWCS理事・東京経済大学名誉教授)
会報No.48 2006 Vol.4 掲載

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