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2007年6月13日 (水)

▼ アフリカゾウの附属書改正、審議状況(6)合意に達するか?


◆ 6月12日、第Ⅰ委員会で行なわれたアフリカゾウの附属書改正に関する議論を詳しく報告。その6



修正案を検討、結果は明日へ持ち越し



議長は、議事進行手続にしたがい、取引への規制の程度が弱いものから順に討議を始めると宣言、ナミビアによる提案4(4カ国からの年輸出枠付で継続的取引)の趣旨説明を求めました。
これに対して、ナミビアは南アフリカの修正提案から議論してもらいたいと発言。その後、ナミビアなどいくつかの発言がありましたが、結局趣旨説明が行われたのは南ア修正案についてだけでした。
ナミビアは、南ア修正案は、12日間の交渉に基づく妥協案であると冒頭強調しました。
法執行は経済的インセンティブと結びつかなければ効果がない。
生物学的には議論の余地はなく、本来は、普通に附属書Ⅱ掲載種として取引してよいはずであると強調しました。また、モニタリングのためにすべての取引を停止する必要はないが、国際協力をする趣旨でCoP16まで新たな象牙取引を凍結することをのむと述べました。
また、CoPでアフリカは象牙問題だけに集中して他の問題に関心を持ってこなかった、他の議題に目を向けるためにも、この問題をCoP外の常設委員会で議論することには意味があるとも述べました。



ナミビアの環境大臣も一部発言し、ゾウは過去10年間で2倍に増えている。生息地消失がゾウに対する主要な脅威であり、増えたゾウは農作物への被害をもたらしている。象牙取引の対価は地域コミュニティーに還元するとしました。


ドイツは、次のように発言しました。
科学的情報に基づいて決定するのだが、しかしそれだけでなく、心で感じる問題でもある。ヨーロッパ人にとってゾウはすばらしい存在。アフリカ諸国の対話によってその内部で決まっていくことを願う。EUはそれを支援していく。対話会議のある夜のセッションで解決にかなり近づいたと思われたことがあった。そのとき議論された内容に基づいて提案を作った。もう少しでコンセンサスに達するのではないかと思う。


ケニアも、この2週間、妥協案を探ってきた。EUの修正案は、もっとも影響が少なく、コンセンサスに導くものであるとして、コンセンサスへの意欲を示唆しました。


常設委員会議長でもあるチリも、それぞれの修正提案の差は少ないので、それを埋める努力をすべきでないかと発言しました。


ここで議長は、EU修正提案、南アフリカ修正提案、ケニア修正提案の3つをベースに、常設委員会委員長を議長にして、コンセンサスをめざして修正案を検討しつつ、それができなければ全体会に戻すことにしてはどうかと提案しました。反対はなく、関係国間の折衝が開始されることになりました。
もしコンセンサスが得られれば、明日の第Ⅰ委員会で決着がつくことになるでしょう。しかし、大変難しい判断ではありますが、私個人は、EU提案をベースにコンセンサスをとることがよいのかどうかについては、様々な意味で疑問をもっています。交渉の結果がどうなったかは明日を待たなければなりません。




◆ 議論の詳細    (1)(2)(3)(4)(5)



(JWCS事務局長 坂元雅行)




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▼ アフリカゾウの附属書改正、審議状況(5) お昼休みに修正提案


◆ 6月12日、第Ⅰ委員会で行なわれたアフリカゾウの附属書改正に関する議論を詳しく報告。その5



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EU、南アフリカ、ナミビアそれぞれからの修正提案


昼休みの間に、EU、南アフリカ、ナミビアそれぞれからの修正提案が配布されました。生きた個体の輸出などについても微妙な違いがありますが、未加工象牙の輸出については次のとおりです。


<EU修正案>
・ ボツワナ70トン、ナミビア15トン、南アフリカ40トン、ジンバブエ15トンの政府在庫の輸出を一定の条件の下に認める。
・ 次の手続に従いながらCoP17まで未加工象牙の輸出を凍結する。
▼常設委員会は、事務局の補佐のもと、CoP16までに象牙取引承認のための意思決定手続を行う。
▼常設委員会は、MIKE、ETIS、「象牙流通管理行動計画」(アクションプラン)の履行状況に基づき、ゾウの状況、取引状況、違法取引の影響を包括的に評価する。
▼アフリカゾウ生息国は、法執行体制の強化、アクションプランの履行、能力開発等を続けること。
▼CITES事務局は、アクションプラン履行のためのアフリカゾウ基金を設置すること。


<南アフリカ修正案>
・ 未加工象牙の再開内容はEUと同じ。
・ 常設委員会が、CoP12で認められた象牙および上記象牙の輸出と、ゾウの密猟や違法取引との著しい因果関係を、MIKE及びETISの報告にもとづいて評価し、その結果にもとづいて年輸出枠付で継続的輸出を認めるという条件で、CoP16まで未加工象牙の輸出を凍結する。


<ナミビア修正案>
・ ボツワナのゾウについてのみの修正提案。
・ それ以外は南アフリカと同じ。

<ケニア修正案>
・ モラトリアム期間を12年間とする。そのほか、決議10.10、アクションプランの改正などを提案している。




◆ 議論の詳細    (1)(2)(3)(4)(6)



(JWCS事務局長 坂元雅行)




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▼ アフリカゾウの附属書改正、審議状況(4) ETIS(ゾウ取引情報システム)


◆ 6月12日、第Ⅰ委員会で行なわれたアフリカゾウの附属書改正に関する議論を詳しく報告。その4



ETIS(ゾウ取引情報システム)の報告



TRAFFICから、ETIS(ゾウ取引情報システム)について、次の通り報告がありました。TRAFFICとは、WWFとIUCNの自然保護事業で、野生生物の取引を監視している機関です。


ETISデータベースには、現在2,952件の象牙の輸入差止め・押収が記録されており1989年以来、322トンの象牙が押収等されていることになります。そして、違法取引が近年非常に増えていることが報告されました。


また、1トン以上の大規模な押収等が増加しており、これは組織犯罪がかかわっている証拠であろう見方が示されました。さらに、違法取引を行ったものが十分に起訴されていないことも指摘されました。


違法取引に特に深く関わっている国として、コンゴ民主共和国、タイ、カメルーン、ナイジェリア、中国があげられました。
中国は著しい法執行努力を続けていることが評価されたものの、依然として違法取引への影響が強いと報告されました。また、フィリピンは違法取引の中継国として中心的な存在であると指摘されました。


違法取引の傾向の原因が何かについては、CITESでの決定は影響なく、むしろ無規制状態の国内象牙市場の存在の影響が強いと評価しています。特に中国は、アフリカから違法象牙が持ち込まれないよう普及啓発を徹底する必要があると指摘されました。


これに対し中国は、一部のNGOから誤った情報が出されていることもあり、ETISの中国に対する評価には是認できないところがあると指摘。中国の管理システムは事務局によって2回に渡り検証され、決議10.10に適合していると評価されていること、それにもかかわらず、このまま中国が象牙輸入国に指定されないことになれば、(合法取引への失望の故に)中国内で違法取引が増えるだろうと述べました。


タイは、ETISによる評価については、満足できない。タイについて個別の指摘をした段落を削除すべきだと主張しました。


午後になってETISに対する議論が再開、中国が再び発言しました。10年間で中国で押収された量は、世界全体の10分の1に過ぎない。ボツワナとケニアはガバナンスの評価が抜けている。
EIAは、過去20年間、象牙の違法取引を調査してきたNGOですが、MIKEは未だスタートしていないので、1997年に象牙取引再開決定して以降の10年間はデータがなく、そのときの決定とその後起こったこととの因果関係は証明できるはずがないと発言。
また、1991年以降、押収したものや私企業が所有する在庫のインベントリ(棚卸し)が行われたことがない。象牙ブームというだけでなく、長期にわたるマーケット管理ができていないことが根本問題だとしました。


TRAFFICは、中国からの疑問に答え、中国のデータはすべて政府から直接得たものである。中国はまた、他のどの国グループよりも押収等スターのどれよりも大きい、さらに大部分が最近の押収等によるものと指摘しました。


これに対して、中国は、(ETISのことではありませんが) 第54回常設委員会はNGOからの批判を受け、法執行機関が裏づけ調査したところ、売られている量ははるかに少なかった。NGOは嘘をレポートに書いていると発言しました。




◆ 議論の詳細    (1)(2)(3)(5)(6)



(JWCS事務局長 坂元雅行)



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▼ アフリカゾウの附属書改正、審議状況(3) MIKE(ゾウ密猟監視システム)


◆ 6月12日、第Ⅰ委員会で行なわれたアフリカゾウの附属書改正に関する議論を詳しく報告。その3



MIKE(ゾウ密猟監視システム)


CITES事務局から、MIKE(ゾウ密猟監視システム)について、次の通り報告がありました。
MIKEでは、個体数のトレンド、密猟のトレンド、管理努力、CITESでの決定の影響などを監視するため、アフリカとアジアでそれらの情報が収集され、6月2日に開催された第55回常設委員会でアフリカで51箇所、アジアで20箇所のベースライン情報が整ったことが確認された。


2007年のIUCNの報告「アフリカゾウの状況レポート」によれば、アフリカでは40数%が、アジアでは20数%が監視の対象となっており、アフリカの中では中央アフリカがどこよりも密猟が激しいとされています。


これに対して、ケニアは、ベースライン情報がどのようなものかアフリカの生息国は理解していない、元データを提供しただけであり、事務局から説明がない、アフリカとアジアの生息国を集めた会議を開き、十分な説明を行うべきだと述べました。


タイは、事務局で資金を確保してもらい、東南アジアでのMIKEサブ地域会議を開催し、今後の進め方について議論したいと発言。


ドイツ(EU)は、資金の面で、将来的なMIKEの存続に懸念を示しました。


フランスが、MIKEアジア中のインドについて50,000ドルを緊急に出したものの、2007~2011年のための予算として400万ドルが必要であり、資金提供者を求めていると報告され、プロジェクトの将来に懸念が示されました。


ジンバブエは、MIKEは補完的なものであり、生息地での保護区管理や法執行を直接行うものだと指摘しました。



◆ 議論の詳細    (1)(2)(4)(5)(6)



(JWCS事務局長 坂元雅行)



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▼ アフリカゾウの附属書改正、審議状況(2) 審議の前に修正提案


◆ 6月12日、第Ⅰ委員会で行なわれたアフリカゾウの附属書改正に関する議論を詳しく報告。その2



討議前に配布された修正提案


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討議に先立って、ケニア・マリから、3つの追加資料が配布されました。


●第1は、モラトリアムを20年間から12年間(CoP18までということになります)に短縮する妥協案です。20年間は長すぎるとして多数の支持が得られないと考えた結果でしょう。


●第2は、「象牙流通管理行動計画」の改定に関する対案で、既にCITES事務局から出されていた改定案よりもずっと詳細です。ゾウが附属書Ⅱに掲載されている国(ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ、南アフリカ)や象牙輸入指定国に指定された国(日本)に、国内流通管理の履行状況を定期的に報告することを明確に求めています。また、ETIS(ゾウ取引情報システム)そのほか信頼できる情報源に基づき、象牙の違法取引が実質的に増加したと認められる場合は、「象牙輸入国」への指定を無効にすることも定められています。


●第3は、前記のモラトリアム、行動計画そして生息国間の対話の促進やアフリカゾウ保護基金の設置を盛り込んだ決議10.10の改正案です。


6月12日の午前のセッションは、ナマコの作業部会や淡水性カメ・リクガメに関する決定の履行などの議題が討議された後、一連のゾウに関する議題に入りました。



◆ 議論の詳細    (1)(3)(4)(5)(6)



(JWCS事務局長 坂元雅行)



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▼ アフリカゾウの附属書改正、審議状況(1) 3つの提案


◆ 6月12日、第Ⅰ委員会で行なわれたアフリカゾウの附属書改正に関する議論を詳しく報告。その1


6月12日、第Ⅰ委員会でアフリカゾウの附属書改正に関する3つの提案が審議されました。


3つの提案とは・・・、

●ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ、南アフリカ4カ国のゾウについて、割当量を決めて毎年象牙を輸出することなど求めるボツワナ・ナミビア提案(提案4)、

●ボツワナのゾウについて40トンの未加工象牙在庫の1回での輸出、その後は毎年8トン以内の輸出枠以内での輸出、その他商業目的での象牙製品などの輸出を求めるボツワナ単独提案(提案5)、

●象牙取引の20年間モラトリアムなどを求めるケニア・マリ提案(提案6)です。

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これらの提案については、5月29日から31日にかけての3日間に続き、6月10日に行われたアフリカゾウ生息国間の対話会議でコンセンサスに至らず、その後非公式の折衝が続けられていましたが、調整がつかず討議となりました。


あわせて、象牙の流通管理に関する決議(決議10.10)の趣旨を具体化するための「象牙流通管理行動計画」の改定案(CITES事務局提案)も議論されます。
行動計画の主たる目的は、アフリカ大陸内やアジアに見られる「無規制状態の国内象牙市場」への対処です。規制しない場合は国内取引を禁止すること、規制するなら決議に定められた条件に適った方法で行うことを関係国に求め、行動計画を実施しない国に対する制裁手続を実効性のあるものにすることがポイントになります。



◆ 議論の詳細    (2)(3)(4)(5)(6)



(JWCS事務局長 坂元雅行)



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