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2007年6月 9日 (土)

▼ 世界は日本をどうみているのか?

     

◆ 世界はこうみる、日本はどんな野生動植物も利用したい国だ

   

6月8日、スローロリスの付属書Ⅰ掲載が決定した直後、私は会議場をそそくさと出て、上着を脱ぎ捨て、600冊以上の重い重い象牙のレポート運びに汗を流しました。

途中、何人ものNGOが集まってきて、しばし台車を停め、スローロリスの結果を抱き合って祝福しあいました。

   

大喜びの後は、皆、日本が賛成したことを口々に不思議がりつつ、「てっきり最後にケチがつくかと思ったが、日本は大変すばらしかった」と言っていました。

議長が日本とJWCSを最後に指名したことについては、「それまでの政府もNGOも皆、賛成だったから、反対しそうな政府とNGOを指名したんだよ」と言った人がいました。

確かに、議長としては満場一致でいけるかどうかの感触を得るため、反対意見があるかどうかを把握しておく必要があります。

でも、どうして野生生物を保護する立場のJWCSが? という点ですが、議長はJWCSのことを知らないので、日本のNGOだったら政府のように取引禁止には反対するのではないかと予想したわけです。

  

これには、また苦笑いでした。
当たっているかどうかは別として、これほどの日本のイメージができ上がるには、それだけの理由があるわけです。

   

たとえばこんな過去 参照記事へ

   

私自身、日本が附属書Ⅰへの掲載提案にはっきりと積極的に賛成するのを見たのは始めてのことでした。ただし、姿勢を変えたといえるかどうかは、なんともいえません。今回は、もしあそこで反対していたら、悲惨な孤立状態になることは必至だったという事情があるからです。

   

(JWCS事務局長 坂元雅行)

   

    

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▼ スローロリス、2日目の審議 詳細(2)

    

6月8日、スローロリスの付属書Ⅰ掲載が採択された審議の状況。
その2

討議前半の様子はこちら その1

      

Yukicop14_4

      

◆ 最後に発言を指名された政府+NGOは、日本とJWCS

最後の議長の指名は、なんと「日本、続いてオブザーバーからJWCS」でした。プロワイルドライフなどなど周りの席のNGOたちが「こりゃ、どうなるんだ」と微妙にざわめいています。

私は、(問題によっては仕方がないのですが) 国際的な場で同国の政府とNGOがやり合う感じになるのはあまり好ましくないと思っています。「取りで、こういうめぐり合わせになるのか」と苦笑いがでました。

日本政府からは、環境省の野生生物課の担当者が発言しました。「日本は、この提案に対してコメントをしたいと思います」と切り出しました。日本の用意している反対の理屈が私の頭の中にさっと並びました。

ですが、「附属書掲載基準を満たすので支持します」と簡潔に賛成したのです。おそらく沈黙、もし発言するなら反対あるいは警句のようなことを述べるだろうと思っていたので、少し驚きました。

   

◆ スローロリス満場一致で附属書Ⅰへ!

   

続いて、偶然ながら私の発言が締めになりました。

    

「議長、国際的なペットマーケットにおけるスローロリス類の需要は高く、たいへん高額で取引されており、この需要を当て込んで密輸が増えています。2006年には日本の税関で100頭を超えるロリスの輸入が差し止められました。タイ及びインドネシアから日本へという違法取引ルートが確立しているのです。密輸されたスローロリス類は、動物園に収容される前に、多数が死亡しています。この死亡率の高さが、市場が求める正味量以上の大量のロリスの供給を促すことになってしまっています。それにもかかわらず、ロリスの密輸に対する法執行は厳しいとはいえません。その大きな理由のひとつとして、ロリスがCITESで附属書Ⅱに掲載されているにすぎないことがあげられます。スローロリス類を附属書ⅡからⅠへ移行することは、税関などによるロリスの違法取引に対するより厳しい法執行を促し、また国内流通の規制の強化を促す効果も期待できるでしょう。附属書Ⅰへの掲載は、スローロリス類の保全に貢献すると考えます。」

Yukicop14_8

   

これで審議を終え、議長は、「満場一致で採択します」 と告げました。

   

つまり、スローロリスは無事、附属書Ⅰに掲載されることに!

原則として、スローロリスの国際取引が禁止されることになりました。

   

(JWCS事務局長 坂元雅行)

   

    

    

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▼ スローロリス、2日目の審議 詳細(1)

      

6月8日、スローロリスの付属書Ⅰ掲載が採択された審議の状況。
その1

   

◆ スローロリス、附属書Ⅰ掲載へ賛成意見相次ぐ!

最初に発言したのはドイツ(EUを代表)です。「カンボジアの提案を歓迎します。森林破壊などでスローロリスは深刻な状況におかれています。レッドリストの見直しにおいても、ロリス属の全種が危急種(Vulnerable)か、絶滅危惧種(Endangered) に指定される予定であり、CITESの附属書掲載基準の生物学的基準に該当します。また、実際の取引量は公式に記録されている量よりも多いと考えられます。したがって、提案に賛成します。」 

続いて、ピグミースローロリスの生息国であるラオスも賛成、中東のカタールも賛成しました。

次に発言したのはタイです。タイはスローロリスの生息国でもありますが、違法取引の最大の中継国であり、その発言に注目が集まりました。「強く支持します。アジアのいくつかの国で需要が大きい。」少し他人事のようではありましたが。

続いて、アメリカが簡潔に賛成しました。

   

次に発言したのはNGOで、この提案がカンボジアから出される段階から深く関わってきたプロワイルドライフです。スローロリスがいかに絶滅に瀕しているか、また分類が大きく変わりつつあるため、種のレベルでなく、属のレベル(そこに含まれる全種)で附属書に掲載する必要性を訴えました。 

Poster_1

NGO、プロ・ワイルドライフとケア・フォー・ザ・ワイルドのちらし

   

このあと、最後にいよいよ日本の番がまわってきました。

    

続きはこちら、その2

   

(JWCS事務局長 坂元雅行)

  

    

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▼ スローロリスを守る!国際取引は禁止!!

    

◆ スローロリス、附属書Ⅰに掲載決定!

6月8日、午前9時開始の午前のセッションは、昨日に続くスローロリスで始まりました。審議を終えて、議長は、「満場一致で採択します」 と告げました。

    

つまり、スローロリスは無事、附属書Ⅰに掲載されることに!

原則として、スローロリスの国際取引が禁止されます。

  

しかし、これで終わりではありません。日本での高い需要を背景に密輸が横行する恐れは少なくありません。国内での流通状況も含めて、しっかり監視していく必要があります。JWCSは、この会議で出会ったNGOや研究者たちとも協力して、引き続きスローロリスに注目していかなければならないと思っています。

   

(JWCS事務局長 坂元雅行)

   

    

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