« 2007年6月2日 | トップページ | 2007年6月4日 »

2007年6月 3日 (日)

▼ 60トン象牙、審議状況(7) 密猟監視システムは機能するか?

   

◆ 6月2日、常設委員会で行われた60トン象牙をめぐる議論を詳しく報告。 その7

    

2.ゾウ密猟監視システム(MIKE)の初期情報について

CITES事務局から、ベースラインデータ(初期情報)の報告書の説明がありました。これに対してケニアから、29日の生息国間の対話に関する会議でベースラインデータに関する詳しい報告を受けた。ここで示された分析について検討する時間が必要だ、と意見が出されました。

しかし、EUを代表するドイツからは、疑問はあるが、整っていると発言があり、すかさず日本が「EUを支持する」と発言しました。

     

オセアニア(オーストラリア)は疑問があると発言しましたが、ザンビア、カメルーンは支持しました。

議長は、時間がないとして、コンセンサス(合意)を求めましたが、ケニアが反発したため投票となりました。結果は、賛成11、反対2で、ベースラインデータが整ったという決定が可決されました。

これで、60トンの在庫象牙輸出解禁に課せられた条件がすべてそろった、ということになってしまいました。

   

◆ 議論の結果と、詳細の続きはこちら

議論の結果 、(1) 、(2) 、(3) 、(4) 、(5) 、 (6)

      

(JWCS事務局長 坂元雅行)

               

| | トラックバック (0)

▼ 60トン象牙、審議状況(6) 中国の戦略

              

◆ 6月2日、常設委員会で行われた60トン象牙をめぐる議論を詳しく報告。 その6

          

- 始めから決まっている? -
議論はこのような状況でしたが、議長は、最初から「見直し」はないような雰囲気で、これで事務局のレポートが出されたということでよろしいですね、と締めくくろうとしました。
これにケニアが反発しましたが、ザンビア、カメルーンが議長を支持し、釈然としないままに事務局のレポートが出されたことに留意する、と議論を締めくくってしまいました。

これで日本は確定的に60トン象牙の取引相手国に指定されたことになります。

日本の次に、中国についても議論されました。

        

(2)中国について

中国は、日本の取引相手国指定に反対せずにおき、日本が指定された後に、自分も続くという作戦をとりました。
そして、日本よりも先に、流通管理はCITES決議を満たしていると事務局が判断した中国が、なぜ取引相手国になれないのかと事務局を批判しました。
「差別だ」という趣旨の相当強い調子です。
事務局も対応にもたつき、一時会議が中断したりしましたが、最後は投票で決着ということになり、賛成:6、反対:6で否決されました。

    

◆ 議論の結果と、詳細の続きはこちら

議論の結果 、(1) 、(2) 、(3) 、(4) 、(5) 、 (7)

      

(JWCS事務局長 坂元雅行)

               

| | コメント (0) | トラックバック (0)

▼ 60トン象牙、審議状況(5) アフリカゾウ生息国から輸出反対の声

        

◆ 6月2日、常設委員会で行われた60トン象牙をめぐる議論を詳しく報告。 その5

      

政府代表からは、ケニア、ガーナ、マリ、チャドが日本を取引相手国に確定的に指定し象牙取引が再開されれば、密猟がさらに増加するおそれがあると指摘しました。

たとえば、マリは、 「アフリカでは密猟でゾウが減少している。密猟者は他国から侵入してくる。密猟者は貧しい地域コミュニティーに影響を与え(象牙を密猟、密売することに依存)、ローカルな象牙の違法マーケットが拡大している。また、税関による国境のコントロールが非常に難しくなっている。保全プロジェクトをEUとやっているが、そうした保全努力も水の泡にしてしまう。」 と述べていました。

       

さらに、イスラエルは、事務局の報告文書が遅かったため、今回は十分な議論ができないことを指摘しました。

しかし、EUは事務局の努力に感謝し、日本の指定見直しを求めない姿勢を示しました。

また、ジンバブエ、タンザニアが日本を取引相手国に維持することを支持しました。

   

◆ 議論の結果と、詳細の続きはこちら

議論の結果 、(1) 、(2) 、(3) 、(4) 、(6) 、 (7)

       

(JWCS事務局長 坂元雅行)

                     

| | トラックバック (0)

▼ 60トン象牙、審議状況(4) 日本のここが問題だ!

      

◆ 6月2日、常設委員会で行われた60トン象牙をめぐる議論を詳しく報告。 その4

           

私は、机の前のネームプレートを掲げて議長に発言を求め、現行の日本の流通管理の根本的な問題点をいくつか絞り込んで指摘しました。

      

ひとつは、個人が占有する象牙の問題です。
日本政府は普及啓発により自発的な登録を促すといいますが、法律で義務づけることなしに、わざわざ登録料を払って登録する人がいるとは思えません。
しかも、ただやみくもに登録を勧めると、現在の法律では書面審査のみで登録を認めてしまうため、かえってロンダリングのおそれがあります。
以上の問題を解決するためには、厳しい登録手続にした上で、占有するだけの象牙の登録を義務化するほかありません。

      

次に指摘したのがデータベースの問題です。
実際には、準備されているデータベースは製品から牙までたどることができないばかりか、そこに入力される情報のもとになる台帳は、小売業者の場合、2年に1度しか回収されないことになっています。これではタイムリーな情報の解析は最初から不可能です。

   

◆ 議論の結果と、詳細の続きはこちら

議論の結果 、(1) 、(2) 、(3) 、(5) 、(6) 、 (7)

      

(JWCS事務局長 坂元雅行)

                 

| | トラックバック (0)

▼ 60トン象牙、審議状況(3) 財務省のデータは不正確?

          

◆ 6月2日、常設委員会で行われた60トン象牙をめぐる議論を詳しく報告。 その3

      

事務局はまた、(JWCSがまとめた輸入差止の一覧表を指してのことと思われますが)、NGOが示す輸入差止のデータベースなど存在しないのであり、まったく不正確であると批判しました。
日本政府がそのように事務局に伝えたからかもしれませんが、データは財務省関税局から得た行政文書よりゾウに関するものを忠実に拾い上げただけのものです。
このような不当な批判までするところを見ると、CITES事務局の日本政府への肩入れは相当なものだと改めて実感しました。

       

事務局は、最後に、日本は確かに密輸象牙の仕向け先である。
ETIS(ゾウ取引監視システム)のレポートもそのことを支持している。また、日本の管理は様々な面で改善できる余地はあるだろう。
しかし、どのようなシステムにするかは日本が決めることであり、少なくとも現在のシステムでもCITESの決議が要求していることは満たしている、と締めくくりました。

       

事務局の報告を受け、日本政府から、データベースへの情報の蓄積が進んでいることなど、システムの説明があり、最後に、象牙取引を再開しその利益がアフリカゾウの原産国に還元されることがサステイナブル・ユースの原則に沿うことだと締めくくりました。

   

◆ 議論の結果と、詳細の続きはこちら

議論の結果 、(1) 、(2) 、(4) 、(5) 、(6) 、 (7)

       

(JWCS事務局長 坂元雅行)

            

| | トラックバック (0)

▼ 60トン象牙、審議状況(2) 密輸の摘発状況は?

    

◆ 6月2日、常設委員会で行われた60トン象牙をめぐる議論を詳しく報告。 その2

   

問題の第2は、個人が占有する未登録象牙についてです。
現行法上、登録は取引の要件に過ぎず、占有するだけなら登録が必要ないため、必然的に未登録象牙が国内に発生することになります。そこに密輸象牙が紛れ込むおそれがあります。この点はJWCSもトラフィックも指摘していました。
しかし、事務局は占有するだけの象牙にまで登録を求めることは実践的でないと切り捨ててしまいました。

   

問題の第3は、象牙取引情報のデータベース化についてです。
事務局はまた、製造業者をコントロールするのが実践的、製品ごとに管理すること、ハンコから象牙を追跡することは実践的でないと断定しました。

      

さらに、事務局は、2006年の大阪港の2.8トンの密輸や2005年の1700本の象牙印鑑の密輸に対し、税関と警察の活動はすばらしく、批判されるべきことはないと述べていました。
JWCSは、これらの事件について、輸入名義人になっていたものや運び屋が摘発されただけで、依頼人や最終の受取人が摘発されていないと批判していました。

     

◆ 議論の結果と、詳細の続きはこちら

議論の結果 、(1) 、(3) 、(4) 、(5) 、(6) 、 (7)

      

(JWCS事務局長 坂元雅行)

                     

| | トラックバック (0)

▼ 60トン象牙、審議状況(1) 象牙印鑑業者の届出率は?

           

◆ 6月2日、常設委員会で行われた60トン象牙をめぐる議論を詳しく報告。 その1   

      

 1 取引相手国について

(1)日本について

日本は、前回(第54回)の会議で、取引相手国に指定されていました。ただし、同委員会は、CITES事務局に対し、第55回委員会において最新情報を提供するよう要求していました。(もうひとつの候補国、中国については未だ指定はありません。)

最初に事務局から、最新状況のアップデートと、前回の会議で各国から示された懸念に対する報告がありました。

前置きとして、事務局による日本の流通管理の検証の基準は、合理的、実践的という観点だとし(決議の要求している条件の文言にこだわらず、主観的に判断しているという批判を意識したものと思われます)、日本は事務局に非常に協力的であり、数年にわたり、何度もシステムを改善してきたと評価しました。

前回懸念が示された点の一つ目は、未届出業者が多数いるという点です。事務局は、届出をしていない印鑑業者にDMを送ったが、届出実績が少なかったのは(JWCSレポートで指摘したこと)、象牙の印鑑を扱っている可能性があるところに送ったまでであって、届出を出してこなかったところのすべてが象牙を扱っているとは限らないと反論しました。

しかし、それは単に事実がどうかを確かめていないと自白しているだけです。本来は以前JWCSが行ったように、登録のない印鑑業者に象牙の扱いをまず確認してから届出を指導すべきでしょう。
事務局は、果ては象牙の印鑑はそれほど需要がない、自分が日本を訪れたときに象牙以外のものをたくさん見た、だからDMを送った先が象牙を扱っていなかったとしてもおかしくないとまで述べていました。

   

◆ 議論の結果と、詳細の続きはこちら

議論の結果 、(2) 、(3) 、(4) 、(5) 、(6) 、 (7)

      

(JWCS事務局長 坂元雅行)

              

| | トラックバック (0)

▼ 60トン象牙、日本への輸出が決定しました

      

◆ 6月2日、午後2時25分からは、60トン象牙の取引解禁に関する議論が始まりました。

第12回CITES締約国会議(2002年)に、ボツワナ、ナミビア、南アフリカ共和国の在庫象牙の輸出が条件付で解禁されましたが、その条件がととのったかどうかが議論のポイントです。この条件とは次の2つです。

1. ゾウの生息域全体で実施されるゾウ密猟監視システムを開始するための初期情報(ベースラインデータ)が整うこと
2. 象牙輸出の取引相手国が適切な国内流通管理を整えること

   

◆ 議論の結果、
5年間ペンディングになっていた60トンの象牙が日本に対して輸出されることが認められてしまいました。

秋口にもボツワナ、ナミビア、南アフリカ各国で在庫象牙のオークションが行われ、早ければ年内にも日本に象牙が輸入されることになるでしょう。

       

今回の常設委員会での意思決定には大きな疑問があり、大変残念な結果ですが、この決定の失敗の審判を受けるのは決定した当事者ではなく、ゾウたちです。
そして、そのような事態を少しでも避けられるかどうかは、私たち日本の消費者がどう行動するかにかかっているといえます。

        

明日開幕するCoP14では、今回対象となっている60トンの後、新たに備蓄されたボツワナの在庫象牙を1回で輸出、その後毎年一定量以下の象牙を輸出する、という提案などが議論されます。

今回の決定が、これから象牙取引の本格的な再開にどんどん道を開いていってしまうことになるのかどうか・・・。戦いはまだ続きます。

   

◆ 議論の詳細はこちら

(1) 、(2) 、(3) 、(4) 、(5) 、(6) 、 (7)

   

(JWCS事務局長 坂元雅行)

          

| | トラックバック (0)

▼ なんでも反対? 日本政府の抵抗力

              

◆ 6月2日、10時25分、CITES第14回の本会議に先立ち、常設委員会の会議が始まりました。手続的事項に関する議題がすむと、いくつかの種に関する議論がありました。

      

家具材などにされるビッグリーフ・マホガニー(附属書Ⅱ)の取引では、原産国(輸出国)のペルーがCITESを履行せずに輸出を続けていることについて、ペルーが決議を遵守しない場合は、輸出を一定の条件のもとに監視し、2年間停止する(他の締約国が任意に輸入をしない)措置をとるべきことを、CITES事務局が勧告しました。

        

ペルーは輸出枠設定などの用意があることを釈明。
ドイツは、違法伐採が横行する非常に深刻な事態にあり、この委員会で状況を打開するために強力な措置をとるべきことも考えなければならないと発言しました。

これに対して日本は、植物委員会とのすりあわせなしに事務局が厳しい輸出枠を設定することは、既に採択されていた決議を見ても根拠がないことだと批判しました。

これに対し、ノルウェーも決議の遵守を監視した上での取引停止を支持、アメリカは日本の批判に根拠がないことを指摘しました。

SSNやWWF/トラフィックなどのNGOは、これまでワークショップ、遵守確保のための支援措置を数限りなく繰り返し、常設委員会でも改善を約束したのに守られず、明白な非持続可能な伐採が続いており、ペルー政府がCITESを遵守しようとしなかったのが現実だ、もはや制裁措置をとるしか状況の改善はない、と主張。

日本のみが重ねて強く抵抗しました。
そもそも常設委員会が制裁措置をとること自体に疑問があり、その権限の行使は極力避けられるべきであると持論を展開、したがってペルーには制裁措置でなく、CITESを遵守できるよう支援措置をとるべきだと主張しました。

ドイツは可能であれば制裁措置を避けたほうがよいので他に方法がないか模索しようと提案し、ランチタイムをはさんで、ペルーを技術的に支援しながらその改善努力を監視していく妥協案が決議されました。

        

◆ 午後はいよいよ象牙の議論がはじまります・・・

         

(JWCS事務局長 坂元雅行)

                    

| | トラックバック (0)

▼ 会議が遅れる理由は何だ?

               

◆ 6月2日、常設委員会当日、朝7時過ぎにレストランに下りると、象牙組合の方たちがすでに食事を始めており、日本政府の顧問の方もそこに加わりました。少し挨拶をしてから、すぐ後ろのテーブルでケニアの政府代表や他のNGOの人たちと食事。早々に会議場へでかけました。

8時からアフリカの一部の国で今日の常設委員会の戦略が話し合われました。象牙取引再開に反対の国々で、取引再開を何とか食い止めたいという熱意がひしひしと伝わってきます。
そこでもケニアで活動するNGOとともに日本の象牙流通管理の問題に関するペーパーを配りました。

         

◆ 会議場に向かう途中、中国政府代表に会いました。CITES管理当局のトップで、北京でオフィスを訪問したときもお会いした方です。彼のほうから「日本の輸入相手国への指定を支持することにしました。日本が指定されたら、次は中国へも道が開かれます。私たちはお互いに協力し合うことにしました」と話しかけてきました。状況はますます厳しくなったと実感せざるを得ませんでした。

          

◆ 会議場へ入ると、9時開始の予定ですが、10時を過ぎても会議は始まりません。時間が少ないと、強硬な議事進行が正当化されやすくなります。また、発言権はオブザーバーにもありますが、時間がない場合は政府代表が優先されます。その意味で、開始時間の不明瞭な遅延はいろいろと疑念をおこさせます。

        

その間にも、NGOたちは忙しく動き回っています。この数日コンタクトをとれなかった政府代表に会って盛んに働きかけをしています。
日本の象牙流通管理問題についても、ケニアで活躍するNGOがアフリカ諸国やゾウの保全に理解を示してくれそうな国に話をしてくれています。

私もアメリカの政府代表団の団長と直接話をし、問題点を説明することができました。取引せずに占有するだけのホールタスク(全形を保った牙)は登録する義務がないことには驚いていました。ただ、短い時間でしたし、もっと早い段階で話ができればという思いが残りました。

             

◆ 会場へはNHKのテレビが入っているとのことでした。
日本政府からの示唆があってのことでしょうから、政府が今回60トン象牙の取引解禁が決まることに自信をもっていることがうかがわれます。

           

(JWCS事務局長 坂元雅行)

                      

| | トラックバック (0)

« 2007年6月2日 | トップページ | 2007年6月4日 »